半世紀前の1974年を支配? アニメ・特撮にも多大な影響を与えた「2大ブーム」とは
ちょうど今から50年前の1974年には、日本を揺るがすふたつのブームがありました。ひとつは心に不安をよぎらせる「終末論」、もうひとつは逆に大人から子供まで熱狂させた「カンフーブーム」です。その影響は子供番組にまで及びました。
「1999年7の月」という予言に恐怖した1974年の出来事
現在から半世紀前の1974年には、子供向け作品にも大きな影響を与えた出来事がふたつありました。当時、日本中から注目された2大ブームについて振り返ってみましょう。
オイルショックよる品不足に価格高騰や、コインロッカーベイビーといった暗いニュースが流れていたのが前年の1973年の出来事でした。その影響か、あまり明るい話題がなかったのが50年前の1974年です。もっとも子供だった筆者は、後に振り返った時にそう思った程度で、実際は普通に過ごしていました。
こんな時はどうも暗いものが好まれるのか、小松左京先生の書いた小説『日本沈没』が前年にベストセラーとなり、映画化されて大ヒットとなっています。この年は関東大震災から50年という節目の年でしたから、災害に対して興味をひくには絶好のタイミングだったのでしょう。このヒットを受けて、『日本沈没』は1974年にはTVドラマ化されました。
この作品に続いて映画化されたのが、『ノストラダムスの大予言』です。パニック映画として製作され、前年にベストセラーとなっていた五島勉さんが書いた『ノストラダムスの大予言』を原作としていました。
こういった「世紀末思想」や「終末論」が流行したことが、少なからず子供向け番組にもその陰を落とします。影響下にあった作品で思い出す作品と言えば、やはりTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』とTV特撮『SFドラマ 猿の軍団』でしょうか。奇しくも、裏番組としてぶつかることになりました。
ともに「人類の絶滅」というテーマを持った作品で、子供心に危機感を覚える部分だったと思います。『宇宙戦艦ヤマト』の舞台が2199年というのも、ノストラダムスの1999年からの影響だと子供にもわかる仕掛けでした。
この他にも、アニメ映画『マジンガーZ対暗黒大将軍』で登場する謎の預言者も、影響下にあったのかもしれません。また、TV特撮『仮面ライダーX』には第13話で「ゴッドラダムスの大予言!」というエピソードもあり、当時の預言者という存在の影響の大きさが分かります。
TV特撮『ウルトラマンレオ』の主題歌「ウルトラマンレオ」でも、「何かの予言が当たる時、何かが終わりを告げる時」と歌詞に使われており、終末論が1974年の子供番組に与えた影響は少なくないでしょう。
もっとも、1974年は終末論といった暗い話題だけではありませんでした。前述の『ウルトラマンレオ』に影響を与えた、もうひとつのブームがあったからです。