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流行りの「アニメ倍速視聴」、『葬送のフリーレン』には通用しない? 早回し不可の演出とは

近年はアニメを倍速視聴する人が増えているといいます。日々膨大な娯楽が供給され続けている現代社会では致し方ない側面があるのも事実です。しかしながら現在人気を博している『葬送のフリーレン』のように、倍速視聴すると重要な情報が得られない作品も存在しています。『フリーレン』は他の作品と何が違うのでしょうか

近年のアニメは「セリフ」による説明が多いが……?

アニメ『葬送のフリーレン』第2クールキービジュアル (C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会
アニメ『葬送のフリーレン』第2クールキービジュアル (C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

 近年、アニメを「倍速」で見る人が増加しているといいます。標準速度で見るために作りこまれているアニメーションの演出を無視してまで、なぜ倍速視聴をするのでしょうか。

 理由としては簡単で、使った時間に対するコストパフォーマンスを求める人が増えているからです。タイムパフォーマンス(略してタイパ)と言いますが、アニメ業界においてはあまり好ましい概念とは言えないでしょう。時間は有限ではありますが、タイパだけを気にしすぎるとアニメを見る意味がそもそもありません。

 とはいえ、エンタメを楽しむのにも「時間を有効に使いたい」という考えを持つのは致し方ありません。現代人は忙しすぎるのです。特にアニメやマンガ、ゲームに映画、ドラマにラノベなどの娯楽は日々膨大な量が供給されており、ひとりの人間が全を楽しむことはすでに不可能となっています。おそらく現代日本は人類史上最も多くの娯楽にあふれた世界となっているのでしょう。

 もちろん、娯楽だけが人生ではありません。他にも学校や仕事、趣味、人付き合いなど、何をするのにも時間が必要です。特に人付き合いとなれば話題が必要となりますが、アニメの存在感が非常に強くなっている現代では、ヒット作や話題作をある程度おさえておく必要があります。アニメが滅茶苦茶好きと言う方ではなくともアニメを見る必要があるのであれば、倍速視聴という選択はやむを得ないかもしれません。

 しかしながら、多くのクリエイターが心血を注いで作り上げた動画演出をきちんと見ないのは、あまりにももったいない話です。

 それにしても、そもそもなぜ「倍速での視聴」が可能なのでしょうか。大きな理由としては、近年のアニメはセリフで状況や感情を説明してくれる作品が多いからです。アニメは動画と音声で構成されるコンテンツですが、動画をきちんと見なくとも声だけで状況は把握できます。また、場面によってBGMが変化しますが、見せ場となるシーンのBGMは緊迫感があるため、音で重要な場面を判断して集中することができます。倍速視聴とは「観る」以上に「聴く」要素が強い手段だと言えるでしょう。

【画像】「えっ… ヘタレ?」 これが「フリーレン」に同行する戦士の泣き顔です(6枚)

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