『映画ドラえもん』約40年前に「AIの進化」を予測!? リメイク版は現代に通じる変化
2011年公開のリメイク版『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~』は、1986年公開の映画『ドラえもん のび太と鉄人兵団』とは、AIとの向き合い方が異なる描かれ方をしています。旧作では「ロボットの侵略」が描かれた同作はどのように変わっていったのでしょうか。
40年近く前に描かれた『ドラえもん』の「AIとの共存」とは!?
アニメ『ドラえもん』はいわずと知れた、ファミリーアニメの長寿番組です。のび太が困った事態に陥ったときに、ドラえもんが「ひみつ道具」を取り出し、解決してくれるというのがお約束の展開。未来の道具で願いを叶えてくれるという、大人も子供も夢で心がいっぱいになる物語です。
しかし、1986年に公開された『ドラえもん』の映画『ドラえもん のび太と鉄人兵団』は「AIとの戦い」が繰り広げられるという、TV版に比べるとハードなテーマです。40年近く前の作品ですが、「AIが進化する現代を予言していたのでは?」とにわかに話題になりました。また、本作は20年以上経過した2011年にリメイク版も放映されました。旧作・新作との違いも交えながら、AIとの向き合い方がどのように描かれていたのか見ていきましょう。
まずは旧作『ドラえもん のび太と鉄人兵団』では、のび太が北極でロボット「ザンダクロス」の脳といえるパーツを発見します。ドラえもんが「ほんやくコンニャク」でロボット脳の声を聞くと、なんと地球侵略を計画していることが判明します。危惧したドラえもんはロボット脳の回路変更をおこない、侵略阻止を図ります。しかし、後にロボット兵団による攻撃を受ける事態に陥ってしまいます。まさにAIが発達した先には、人間が侵略されるのではないかという、「AIに対する恐怖心」を表す内容でした。
続いて2011年公開のリメイク版『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~』では、初期作とは一転したロボットの様子が描かれています。「ザンダクロス」の脳はパーツではなく、ドラえもんの道具によって、かわいらしい「ピッポ」というヒヨコのような出で立ちに変化しました。また、地球侵略を企てていることは旧作と同じですが、回路を変更するという手段ではなく、話し合いによりロボットの協力を得る形で和解へと向かうストーリーに変わりました。
いまから10年以上前にリメイクされた同作ですが、現代社会でたびたび問題として取り上げられる、「AIとの関わり方」に焦点が当てられたストーリーです。人間の優しさに触れたことで、心の移り変わりが描かれた少女型ロボット「リルル」が最期に「今度生まれ変わったら……天使のようなロボットに……」という言葉を遺したシーンは、もはやロボットが心を持っていると言っても過言ではないような描写です。
昨今、「ChatGPT」の登場や、「AIイラスト」への賛否両論など、人間とAIの上手な向き合い方がたびたび話題にのぼります。『ドラえもん』に登場するキャラのように、人間と良好な関係で共存できるAIは誕生するのでしょうか。
(LUIS FIELD)