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アナハイムが「ガンダム」を開発するワケ 連邦の秘密兵器はなぜ民間企業に託された?

『Zガンダム』以降に登場するアナハイム・エレクトロニクスは、ガンダムタイプのモビルスーツを多数、開発しています。なぜ地球連邦軍の秘密兵器であった「ガンダム」が、民間企業のフラグシップになっているのでしょうか。

「一年戦争」時はガンダム開発に参加していなかったって知ってた?

BANDAI SPIRITS「HG 1/144 ゼータガンダム」 (C)創通・サンライズ
BANDAI SPIRITS「HG 1/144 ゼータガンダム」 (C)創通・サンライズ

「アナハイム・エレクトロニクス」とは、アニメ『機動戦士Zガンダム』より登場した超巨大企業で、化粧品や自転車といった民需品から、巨大なスペースコロニーや宇宙艦艇まで幅広く手掛けています。

 もちろん、物語の主役メカというべき、巨大人型兵器「モビルスーツ(MS)」も多数、開発および製造してきました。『Zガンダム』での初登場以降、アナハイムは「Zガンダム」「ZZガンダム」「ν(ニュー)ガンダム」など、「ガンダム」タイプのMSを多数、開発しています。

『Z』より後に発表されたアニメ『機動戦士ガンダム0083』では、宇宙世紀0087年を舞台とする『Z』より前の、宇宙世紀0083年ごろに開発された「試作ガンダム」たちもアナハイムの設計ということになっており、アナハイムの代表的なMSは「ガンダム」といえるほど「ガンダム」開発に深く関わっている企業といえるでしょう。

 しかし、初代「ガンダム」である「RX-78」は、実はアナハイム製ではありません(パラレルワールドである『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、テム・レイがアナハイムの技術者という設定なので、そちらでは初代「ガンダム」もアナハイム製である可能性があります)。

 初代「ガンダム」は、地球連邦軍の最高機密兵器開発計画「V作戦」で開発された白兵戦用MSであり、その開発は地球連邦軍内で行われています。V作戦のMS母艦である「ホワイトベース」も、地球上の南米に位置する地球連邦軍本部「ジャブロー」で建造されていますから、月の大企業であるアナハイムは関与していないと考えるのが自然です。

 初代「ガンダム」の開発者であるテム・レイも、設計作業をスペースコロニー群「サイド7」で行っている描写があります。「サイド7」は、地球から見て月の真反対(のラグランジュポイント)に位置しており、つまり月から一番遠い位置にありますから、そこでアナハイムが関わっている可能性は低いでしょう。

 なお「機動戦士ガンダム公式設定集 アナハイム・ジャーナル U.C.0083-0099」(メディアミックス書籍部 著、KADOKAWA)には、「アナハイムのMS開発は宇宙世紀0079年ごろから始まり、当初はジオン軍にも連邦軍のジムにも遅れを取っていた」「一年戦争が終わると、アナハイムのボスであるメラニー・ヒュー・カーバインが、ジオンのMS開発を主導するジオニック社と、V作戦に関わったハービック社を買収し、連邦とジオンの技術の双方を入手した」旨が書かれています。

 マンガ『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』(著:Ark Performance/メカニックデザイン:大河原邦男/原作:富野由悠季/原案:矢立肇/角川コミックス・エース)では、連邦政府とアナハイムが半分ずつ「ジオニック」社を買収したともあり、いずれにせよ宇宙世紀0080年ごろにアナハイムが「ガンダム」を開発できるほどの技術力を取得したのは間違いなさそうです。

 そして「アナハイム・ジャーナル」には、アナハイムの技術者「カイリー・ジョンソン」による「MSは人体に近いほど、その真価を発揮でき、初代ガンダムは理想的なMSとして敬意を持ち、目標とした」との記述があり、それが「アナハイムが『ガンダム』を開発したい理由」といえるでしょう。

 一方、地球連邦軍は宇宙世紀0080年ごろから、「コーウェン」将軍による「ガンダム開発計画」で、アナハイムに「ガンダム」を開発させようとします。

 軍事機密である「ガンダム」を、それまで開発に携わってもいない民間企業、しかも元ジオニック社の、旧ジオン公国出身技術者が多数在籍しており、ジオン側に「ガンダム」の技術が流出する可能性も考えられるアナハイムに任せるというのは、かなり思い切った決断です。

 これには、いくつも理由があると考えられます。

【画像】こちらが「HG 1/144 ゼータガンダム」の「ウェーブライダー」形態です(10枚)

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