「仮面ライダー4号」誕生から半世紀 「ライダーマン」の死が必要だった悲しいワケ
『仮面ライダーV3』に登場するライダーマンが戦いのなか命を散らしてから半世紀が過ぎました。なぜそのような最後を迎えなくてはならなかったのか、製作者の思いが込もった、その理由について振り返ってみましょう。
「ライダーマン」誕生に待ったをかけたのはTV局…? その理由

本日2月2日は、『仮面ライダーV3』第51話「ライダー4号は君だ!!」が1974年に放送された日です。このエピソードによって、元デストロンの科学者である「ライダーマン」こと「結城丈二」は、自らの命と引き換えに栄光の「仮面ライダー4号」の名前を与えられることになりました。
ライダーマンは、「昭和ライダー」で唯一、自身が主役の作品を持たない「仮面ライダー」であり、「平成ライダー」以降に多く登場する「準主役ライダーポジション」を初めて務めたヒーローといえます。つまり、番組の主役を代行した「仮面ライダー2号」とは違い、最初からサブヒーローとして設定されたわけです。
その誕生までの企画には二転三転ありました。当初は前作『仮面ライダー』の登場人物のひとり「滝和也」が、「仮面ライダー1号」「同2号」の手で改造されるという設定から始まっています。そういう意味では番組の新しい主役ではなく、最初から「仮面ライダーV3」の相棒役として設定されていました。
しかし、これに待ったをかけたのが放送局です。その理由は「仮面ライダーの兄弟化は望ましくない」というものでした。当時、放送中だった『ウルトラマンタロウ』との差別化をはかりたかったのでしょう。放送局を説得するというやり取りが長引いたことにより、ライダーマンの登場は第4クールまで伸びました。
ライダーマンの登場が正式に決まった後、メインライターである伊上勝さんによってシノプシス(結末までを記したあらすじ)が書かれます。それによると、ライダーマンとなる結城丈二はモナコGPで優勝したほどのレーサーだったものの、「デストロン」によって改造され、5人チームの「デストロンライダー」にされてしまいました。
しかし、改造手術が終了する前に逃走します。その逃走中にほかの4人の仲間は結城を逃がそうと犠牲になりました。そのため、結城はデストロンに激しい恨みを持ち、その復讐を遂げるために戦う決意をします。
また、結城はV3に変身する「風見志郎」にも恨みを抱いていました。V3さえいなければ、自分がこんな目に遭うことはなかったからです。しかし、風見の人間性に触れることで復讐心も消えていき、共に正義のためデストロンと戦うことを決意しました。
復讐鬼という面では変わりませんが、その標的はあくまでもデストロンであり、「ヨロイ元帥」個人ではないという部分が、シナリオの完成稿と大きく違います。この当時の予定では、後半の部族編幹部は1か月程度で入れ替わり予定でしたから、登場が遅れたことで新たに設定しなおされたのかもしれません。
ちなみに、この時点でライダーマンの武器である「アタッチメント」の設定は考えられていました。シノプシスには、結城自身が新たなアタッチメントを作るという部分が描かれています。この点を考察すると、前半のデストロン怪人が武器合成型という部分を踏まえているからかもしれません。
こういった初期設定からライダーマンは誕生したわけですが、彼はなぜ自分の命を犠牲にして散らなければならなかったのでしょうか。それには生みの親のひとりである東映の平山亨プロデューサーの思いがありました。