マグミクス | manga * anime * game

初代『ガンダム』大人になって観ると苦しい…「人間」が犠牲になるリアルな戦争描写

子供の頃は、MSの活躍にワクワクして観ていたTVアニメ『機動戦士ガンダム』(1979年~放送)には、改めて観ると切なくなる場面や、やりきれない場面などが描かれていました。大人になった今だから分かる、本作のリアルな戦争描写を振り返ります。

第1話から「戦闘に巻き込まれる民間人」の姿が

本作には、戦争描写がリアルに描かれている。画像は「機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙編 /特別版【劇場版】[DVD]」(バンダイビジュアル)
本作には、戦争描写がリアルに描かれている。画像は「機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙編 /特別版【劇場版】[DVD]」(バンダイビジュアル)

 子供の頃はメカに夢中になって観ていたTVアニメ『機動戦士ガンダム』(1979年~放送)には、大人になって改めて観ると切なくなる場面や、やりきれない場面などが描かれています。大人になった今だから分かる、本作のリアルな戦争描写を振り返ります。

 第1話「ガンダム大地に立つ!!」では、大勢の民間人が爆撃に巻き込まれて亡くなるシーンがあります。

 宇宙で暮らす人びとの居住空間「スペースコロニー」のサイド7で、地球連邦軍が密かにモビルスーツ(以下、MS)を開発していました。そこに敵対する組織「ジオン公国軍」のMS「ザクII」が偵察に現れます。新兵のジーンが手柄を立てようと暴走し、地球連邦軍のMSを破壊するため攻撃を仕掛けます。地球連邦軍が迎撃を始めると、コロニー内はたちまち戦場と化しました。

 フラウ・ボゥは、戦艦が出入りするコロニーの港に向かって避難していました。その途中でフラウは砲撃の爆風に巻き込まれたアムロ・レイを見かけると、避難している民間人の列から出て彼のもとに駆けつけます。

 その瞬間、フラウの後方が爆撃されます。そこは、彼女が先ほどまでいた民間人の列でした。

 フラウが振り返ると、そこには地面に横たわるたくさんの亡きがら、さらに母親の姿もありました。「……母さん……おじいちゃん」とつぶやくフラウは母親のもとへ歩き出し、「母さん、母さん」と返事がない母親の亡きがらを何度も揺さぶり、泣き崩れるのでした。

 アムロから避難するようにうながされると、フラウはよろけながら歩いてその場をあとにします。子供の頃は、このあとの「アムロがガンダムに乗り込む」シーンに夢中になりました。大人になった今は、母親や祖父の死を受け入れることができないフラウの心境を想い、なんともやりきれない気持ちが残ります。

 続いて、第9話「翔べ!ガンダム」では、戦争中の食糧事情にあ然とする場面がありました。

 この回では、地球連邦軍の戦艦「ホワイトベース」内の食糧事情が描かれています。艦長のブライト・ノアの命令で、民間人であるアムロにも、地球連邦軍の正規パイロットと同じ食事量が支給されます。アムロが特別扱いされていることに対し、ホワイトベースのクルーでもあるカイ・シデンは不満を漏らしています。ホワイトベースの食糧事情は決して余裕のある状態ではなく、一時的に避難していた民間人にも影響が出ていました。

 アムロがホワイトベースの食堂に来たとき、年配の女性と子供が話しながら食事をとっていました。すると、その隣に座っていた男性が、子供が目を離している間に、食べかけのパンを盗み取ったのです。

 大の大人が子供の食事を盗み取る瞬間を見たアムロは、言葉を失います。食糧不足になった人は容赦ない行動に出ることを描いた場面で、大人になって改めて観なおすと、心にズシリときます。

【画像】スタイルもビジュアルも抜群! サービスシーンを大胆披露した「ガンダム美女&美少女」(7枚)

画像ギャラリー

1 2