トラブル生じやすい「原作改変」問題 アニメ業界で起こっている「大きな変化」とは?
小説やマンガを原作としたアニメを作る際、かつてはその内容が大幅に改変されるのが当たり前でした。しかし15年ほど前から「原作に忠実なアニメ」が増えてきています。なぜなのでしょうか。
アニメ化で「原作改変」は当たり前だった?

2024年1月29日、『セクシー田中さん』ドラマ化の際の脚本トラブルの果てに、原作者である芦原妃名子先生が亡くなりました。あってはならない出来事でした。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
小説やマンガを原作とした映像作品が作られる時に、たびたび「原作改変」が議論になりますが、「アニメ化」に限っていえば、かつては大幅に原作の内容が改変されるのが当たり前でした。しかし15年ほど前から、「原作に忠実なアニメ」が増えてきています。当時、現場の片隅にいた筆者の視点から、何があったのかを書いてみたいと思います。
原作を映像化する際に、内容が改変されることは珍しくありません。大きな理由としては媒体ごとに表現技法が異なる点があります。小説はテキストと挿絵、マンガは絵とセリフと擬音で構成されているのに対し、映像はセリフと映像で作られているからです。
なお、それぞれが得意とするジャンルは異なっており、一例を挙げると10万人の大軍を表現するとき、小説なら「10万の大軍が編成された」でいいのですが、これをマンガの絵にするのはとてつもない手間がかかります。アニメで表現するのは不可能に近いといえるでしょう。映画であればエキストラや衣装などを集める、あるいは3DCGで描くという手段がありますが、いずれも大規模なプロジェクトとなります。簡単な話ではありません。
また、物理的な理由のほかに、監督や脚本家は基本的にクリエイターであり、自分が作りたい物語を持っているものです。しかし近年はオリジナルの企画が通りにくく、メディアミックスによる原作作品の映像化がメインとなっています。そこで「原作つき」で企画を通し、監督や脚本家が原作サイドの意向と異なる改変を行う事例は、ドラマだけでなくアニメでも当たり前のように行われてきました。
アニメ化の際に要望を無視された複数の原作者から話を聞いたことがありますが、みな一様に「アニメは一度も見たことがない」「アニメ化作家と呼ばれたくない」と、静かな怒りをため込んでいました。自分の子供のような作品を他人に勝手にいじられるのですから、たまったものではないのでしょう。



