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『ハイジ』『フランダース』名作の理由は 「一社提供」? 号泣の結末を決めたのは意外な人物

かつて、日曜の夜7時からは、武田薬品(現:アリナミン製薬)が提供する「タケダアワー」がTBS系で放映され、『ウルトラセブン』『シルバー仮面』などの特撮ドラマが人気を呼びました。チャンネルをフジテレビ系に変えると、夜7時30分からは「カルピスまんが劇場」が待っていました。「一社提供」から生まれた大人気アニメを振り返ります。

高畑勲氏、宮崎駿氏らが生み出した名作アニメ

『アルプスの少女ハイジ』劇場版 DVD(日本コロムビア)
『アルプスの少女ハイジ』劇場版 DVD(日本コロムビア)

「くちぶえは なぜ とおくまで きこえるの あのくもは なぜ わたしを まってるの」

  TVアニメ『アルプスの少女ハイジ』(フジテレビ系)のオープニングを飾ったのは、伊集加代さんが歌う主題歌「おしえて」でした。ヨーデルの響きとともに、ハイジが楽しそうにブランコを漕いでいる姿が忘れられない人は多いのではないでしょうか。

 その後の「世界名作劇場」の先駆けとなった『アルプスの少女ハイジ』は、1974年に全52話が放映されました。2024年で『ハイジ』は放送50周年を迎えます。

 総合演出は高畑勲監督、劇場アニメ『君たちはどう生きるか』(2023年)が米国のアカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされた宮崎駿監督も、「場面設定・画面構成」として参加しました。スタジオジブリを創設する二大アニメーターのタッグ作を、毎週視聴することができたなんて、当時の子供たちは大変リッチな体験をしていたように思います。

1年間にわたってヒロインの成長を描く

 動物アニメ『山ねずみロッキーチャック』に続いて、『ハイジ』が放映されたフジテレビの日曜夜7時30分~8時の枠は「カルピスまんが劇場」と呼ばれていました。乳酸菌飲料のカルピスを販売していた「カルピス社」が一社提供していた番組枠です。1年間4クール放映が前提となっており、子供たちにとっては「NHK大河ドラマ」のように見逃せない時間になっていました。

 オファーを受けた高畑監督は、『ハイジ』のアニメ化に最初は難色を示していたそうです。「なんで実写でできるようなものをわざわざアニメにするの?」というのが反対理由でした。「日常アニメ」の巨匠のように思われている高畑監督ですが、この頃はアニメーションならではのファンタジックさや躍動感のある作品を目指していたようです。

 しかし、『ハイジ』の製作サイドは、高畑監督、宮崎監督、キャラクターデザインを担当した小田部羊一氏をスイス、ドイツにロケハンに行かせるなど、良質のTVアニメをつくることに大変な熱意を見せたのです。『ハイジ』は海外までロケハンした初のTVアニメになりました。

 1年間にわたって、ハイジの成長をじっくりと描けたことも幸いしました。『ハイジ』の成功によって、高畑監督は平凡な日常生活でもリアリティーたっぷりに描くことで面白いアニメーションになることを実感したのです。

 平均視聴率は20%以上、カルピスの売れ行きも好調。スポンサーが作品内容に口をはさむことはありませんでした。1969年に放送が始まった『サザエさん』(フジテレビ系)も、長く「東芝」がスポンサーとなっていました。「一社提供」という安定した形態が、「日常アニメ」というジャンルを生み出したといえそうです。

【画像】え、時代すごすぎ! こちらが『ハイジ』の裏番組です(5枚)

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