『超電子バイオマン』40周年 後の戦隊を導いた「ターニングポイント」とは?
敵組織のリニューアルで新たな見どころが増えたロボ戦
本作で変更されて唯一の特徴となった部分、それはこれまでのゲスト怪人にあたる「メカジャイガン(後半はネオメカジャイガン)」が、すべて巨大な存在という点でした。そして逆に怪人にあたる「ジューノイド」が、レギュラーとなります。
これまでのフォーマットではゲスト怪人が巨大化するか、ゲスト怪人と同じ形をした巨大ロボが登場することがパターン化していました。これは製作費の関係上、仕方のないことです。もちろん、パターンにとらわれない巨大ロボが登場することもありましたが、あくまでもゲスト扱いでした。毎週、新しい巨大ロボが登場するパターンは、以降の戦隊にもないフォーマットだったのです。
このゲスト枠が巨大ロボになったことで、怪人枠にあたるジューノイド5獣士(後半からはジューノイド3獣士)がレギュラーとなりました。これは当時としては斬新な変更点で、おかげで敵側キャラクターに新たな魅力が与えられます。
また、レギュラー化でジューノイドたちが個性的な怪人となったことも大きなポイントでした。通常なら1体しか出ない怪人が、時には集団で現れるからです。劇場版はその点が秀逸でした。戦隊風に名乗りを上げるジューノイド5獣士のシーンは、とても好評だったことを覚えています。
これら敵側キャラクターデザインのほとんどは前作から引き続き、出渕裕さんが担当していました。出渕さんのシャープなデザインは好評で、対象の子供たちはもちろん、高い年齢層のアニメファンにも興味を持たせるきっかけとなります。
こういった魅力ある敵と戦うことで、本作の巨大ロボ「バイオロボ」の魅力も引き出されたのかもしれません。考えてみれば、戦隊シリーズでもっとも重要視される商品は戦隊側の巨大ロボで、毎回敵が変わっていくロボ戦の盛り上げは必要不可欠です。その点からも、この新機軸は理にかなっていると言えるでしょう。
前述したように、バイオマンと同じく多彩な必殺技を持つバイオロボのアクションは、自由度の高いものでした。さらにトリコロールカラーが多い戦隊ロボのなかにあって、黒、赤、白のカラーリングは異彩を放ち、ジェット機同士の合体も戦隊初となっています。ちなみに販売売り上げは、当時の戦隊シリーズでは最高を記録しました。
このように、いくつかの新機軸を取り入れた意欲作だった『バイオマン』が切り開いた新展開が、後々のシリーズにも受け継がれていきました。そう考えると、本作を戦隊シリーズのターニングポイントと位置付ける人は少なくないでしょう。
(加々美利治)