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ファミコン・スーファミ時代 ソフトが「発売と同時に割引き」されていた謎

現代のゲームソフトは発売時の価格は定価で、時間が経つと割引価格となるのが一般的です。しかしファミコンやスーパーファミコンが主流だった時代では、カセットの値段は発売と同時に割引されているのが当たり前でした。なぜ当時は割引されていたのでしょうか?

ファミコンやスーファミのカセットは「割引されるのが当たり前」だった

ファミコンのROMカセットは製造にも時間がかかった(マグミクス編集部撮影)
ファミコンのROMカセットは製造にも時間がかかった(マグミクス編集部撮影)

 現代のゲームソフトは、発売時の価格は定価で、時間が経つとセール価格となるのが一般的です。しかしファミコンやスーパーファミコンが主流だった時代では、カセットの値段は発売と同時に2割か3割引きで販売される光景が当たり前のように見られました。なぜ、当時は割引されていたのでしょうか。理由は簡単で、販売競争が極めて厳しかったためです。

 いまゲームソフトを購入するなら、配信かAmazonなどのネット通販、あとは大型の電器店が主だった選択肢となりますが、ファミコンやスーパーファミコンの時代は違いました。当時はインターネットがないため、配信もネット通販もありません。代わりに街には無数のファミコンショップが点在し、「ハローマック」などの玩具チェーンや個人経営の玩具店もまだまだ健在だった時代です。

 デパートやディスカウントストアのおもちゃ売り場でも、当然カセットが販売されていましたし、書店でも扱っている店がありました。もたもたすれば中古カセットが出回ってしまうので、新品は少しでも早く売りさばかなければなりません。売れ残りを抱えれば損を承知で大幅に値下げをしてワゴンセールなどで処分する羽目になります。発売と当時に割引販売を強化する方向に行くのは、自然な成り行きでした。

 問題は、この割引分はどこが損をする形になっていたのかという点です。損をするのは最も立場が弱いポジションに決まっています。そう、お客さんに直接販売する小売り店が被っていたのです。

 スーパーファミコン時代のカセット1本当たりの取り分は、諸説ありますがおおよそ、流通経路や権利元など関係者の間で製造(委託費)が10%、ロイヤリティ(権利元報酬)が20%、ソフトメーカーの取り分が25%、問屋と小売店のマージンが45%程度となっていました。

 問屋と小売りのマージンが45%とありますが、問屋には1次と2次があり、1次が10%、2次が5%を確保したとすると、小売りには30%しか残りません。つまり店頭での3割引きは、小売店の利益を吐き出す形で行われていたのです。

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