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『Zガンダム』の革命的メカデザイン 「その後」を一変させた3つの「スタンダード」

本来ならフィクションのなかにしか存在しない巨大ロボットに、リアリティを与えようとする試みはメカデザインに革命を起こしました。「ガンダム」シリーズのメカニックを大きく変化させた『Z』のメカデザインを見ていきます。

明らかに『ガンダム』より洗練されたメカニック

今でも高い人気を誇る『Zガンダム』画像はBANDAI SPIRITS「HG 1/144 ゼータガンダム」 (C)創通・サンライズ
今でも高い人気を誇る『Zガンダム』画像はBANDAI SPIRITS「HG 1/144 ゼータガンダム」 (C)創通・サンライズ

 映画『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』の上映から3年後の1985年、「一年戦争」終結後の『ガンダム』ユニバースを受け継ぐ『機動戦士Zガンダム』のTV放送が開始されました。

『機動戦士Zガンダム』では『機動戦士ガンダム』にない新機軸のメカデザインが多数採用されており、その後の『ガンダム』シリーズのメカニックに大きな影響を与えたといえるでしょう。あまりにも革新的だったため、一般化したそのメカデザインについて振り返ります。

●「全天周モニター」と「リニアシート」

「全天周モニター」とは、コクピットの壁全体がモニターになっており、機体の周囲の様子が映し出されるシステムです。そのコクピットの中心にアームで固定されている座席が「リニアシート」で、これには操縦桿やコンソール類がまとめられています。

 全天周モニターを起動させた様子は、まるでパイロットが宙に浮いているように見えました。『機動戦士ガンダム』では、どのパイロットも目の前のモニターを見ながら操縦していたので、技術の進歩を思わせるハイテク感のあるメカデザインだといえるでしょう。

 パイロットの周囲に外部の映像が映し出されるアイデアには、コクピット内部からでも周囲の映像を映し出すことができるので芝居の幅が広がる、コクピット内のメカを書き込む必要がないので作画の省力化ができる、パイロットをカメラにおさめながら機体のダメージを反映させることができる(モニターが死ぬ演出)など、多くのメリットがあります。

●「モノコック構造」からの脱却

『マジンガーZ』や『超電磁ロボ コン・バトラーV』など、70年代までのアニメにおける「人型ロボット」の多くは、筒や箱が連結されたような形状をしており、いわゆる「モノコック(外骨格)構造」でした。重量を支える背骨や大腿骨に該当する骨格がなく、外装が装甲と骨格を兼ねていたのです。これはいわゆる「スーパーロボット」の内部構造などの資料で確認できます。大河原邦男氏による最初期の設定においては『ガンダム』も、外装の内側にメカがみっちりつまっています。

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