報われない事情の人気作「主人公死亡」展開 「序盤から絶望」「モヤモヤが残る」
アニメやマンガ作品において主人公は欠かせない存在ですが、作品によっては悲しい最期を迎えるパターンもあります。また死亡までの経緯が「報われない」「残酷」という場合もあり、物議を醸すことも珍しくありません。
序盤で死んでも最後に死んでもショック
さまざまな作品で重要な役割を担う主人公は、場合によっては物語の序盤でいったんショッキングな死を遂げたり、最後に報われない形で死亡したりする場合もあります。今回は衝撃的な「主人公死亡」展開が発生した作品を振り返ります。
※この先の記事は『チェンソーマン』『School Days』『進撃の巨人』のネタバレを含みます。
●『チェンソーマン』デンジ
マンガ、アニメともに人気を博す『チェンソーマン』(作:藤本タツキ)は、悪魔が存在する世界が舞台にした作品です。親が残した多額の借金を返済し続けていた主人公のデンジは、借金をしたヤクザから仕事を引き受け、悪魔を駆除する民間のデビルハンターとして暮らしていました。
手元に残るお金はほとんどなく、毎日「何も塗っていない食パン」だけで過ごすという極貧生活をしいられます。学校にも通わず、好きなこともできない環境でしたが、相棒の「チェンソーの悪魔」であるポチタと何とか生き抜いていました。
しかし、彼らをさらなる悲劇が襲います。「ゾンビの悪魔」と契約したヤクザはデンジを見限り、大量のゾンビに襲わせました。必死の抵抗も空しく、デンジはゾンビに食べられて絶命し、バラバラになった体と亡骸になったポチタはゴミ捨て場に放り込まれます。
その後、ポチタは奇跡的にデンジの血が口に入って復活し、デンジを生き返らせるためにデンジと契約して彼の「心臓」になりました。蘇生したデンジはチェンソーマンとなってヤクザやゾンビたちをなぎ倒し、のちに公安のデビルハンターとしての生活が始まります。
『幽☆遊☆白書』や『ゾンビランドサガ』のように「1話でいったん主人公が死亡する」という展開はよくありますが、あまりにも恵まれない境遇や、死んだら自分の身体をポチタにあげたいと言っていたデンジが逆にポチタの犠牲で復活するという報われない物語に、ネット上では「あまりにも無惨すぎる始まり方」「1話からさっそく心にズシリとくるものがあった」「あんな生活してるデンジが『ポチタがいりゃあそれでよかったのに』って言うの切なすぎる」などの声があがっていました。
●『School Days』伊藤誠
TVアニメ『School Days』の主人公である伊藤誠は、多くの女子生徒と肉体関係に及んで「クズすぎる主人公」といわれるなど、いろんな意味で有名なキャラです。
もともとは誠が同級生の桂言葉(かつら ことのは)に恋をして、クラスメイトの女子の西園寺世界(さいおんじ せかい)が誠の好意が言葉に伝わるように手助けをするという構図でしたが、流れのなかで誠と世界は男女の関係になってしまいます。
しかも妊娠の可能性が浮上した世界は誠にうったえかけるも、彼は意中の相手である言葉と一緒にいることを選択し、世界と距離を取りました。そして、最終的に誠は世界によって「包丁でめった刺し」にされ、血まみれで死亡します。
誠の言動を考えれば自業自得ではあるものの、その後の顛末も含め誰も報われない展開だったこともあり、「惨殺シーンを見てもスカッとしないし、とにかくモヤモヤだけが残った」「伊藤誠の人生って何だったんだろうと考えさせられる」といった視聴者の声も目立ちました。
●『進撃の巨人』エレン・イェーガー
アニメの完結編も記憶に新しい『進撃の巨人』は当初、人を食べる巨人から逃れるため、そびえ立つ壁に囲まれた街に暮らす人類の戦いを描いた作品でした。しかし、物語が進んで真実が明かされてからは、かつて「巨人化の力」で蛮行を働いた種族「エルディア人」と、それを憎み迫害する他人種の戦いの物語へ変わっていきます。
そして、同作の主人公エレン・イェーガーは、エルディア人の先祖が壁を築いて住んでいたパラディ島の仲間たちを唯一救える方法として、最終的に「壁(島)の外の人類の駆逐」を選択するのです。
暴走したエレンはコミックス第31巻で、壁のなかで眠っていた大量の超大型巨人を目覚めさせて「地鳴らし」を発動させますが、調査兵団の仲間たちはそれを必死に食い止めようとします。しかし、それこそがエレンの狙いであり、自分の悪行をパラディ島の調査兵団によって阻止させることで、彼らが世界からの信頼を獲得することを望んでいました。
最終的に、エレンは彼が心を寄せていたミカサによって斬首され絶命します。仲間たちが途中で止めたとはいえ、エレンはすぐにパラディ島が報復されないように全人類のうち8割を地鳴らしによって殺しており、未曽有の大惨事となりました。
ちなみに、エレンは最終話でアルミンに「お前達に止められる結末がわかってなくても オレはこの世のすべてを平らにしてたと思う」と話しており、原作ではその理由に関しては「やりたかったんだ…どうしても…」と不明瞭でした。ただ、アニメではエレンが「どこにでもいるありふれたバカが力を持っちまった。だからこんな結末を迎えることしかできなかった」と、自虐的に話すオリジナルシーンが追加されています。
アニメ版の完結後、視聴者からは「エレンのことを考えたら報われなさすぎて涙が止まらない」「エゴを捨てられない子供の自分を『バカだからだ』と切り捨てるように言うシーン、めちゃくちゃグッときた」「アニオリの呆けた顔が忘れがたい」などの声があがっています。
(LUIS FIELD)