「ガンダム三大悪女」呼ばわりされる「ニナ・パープルトン」 その隠された心情に迫る
以前から「ガンダム三大悪女」の一角とされる『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』のニナ・パープルトン。多くのヘイトを集める彼女ですが、本当にそうなのでしょうか。アニメではわかりづらかった心情に迫ります。
実は人気キャラだったニナ? その評価が逆転した契機とは?
「ガンダム」シリーズのなかで、ファンから特に嫌われた存在として、非公式ながら「ガンダム三大悪女」という言葉があります。特に定義があるわけではないので、人により多少その顔ぶれは変わるかもしれませんが、そうしたなかでも「彼女だけは外せない」とファンからのヘイトを集めるのが、OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の「二ナ・パープルトン」でしょう。
ニナは、民間企業「アナハイム・エレクトロニクス」にてモビルスーツ(MS)開発に従事する民間人で、物語開始時点においては連邦軍の「アルビオン」部隊に出向中でした。そのキャリアと21歳という年齢設定から、ケタはずれな俊英ぶりがうかがえます。
先に発言しておきますが、筆者はOVA展開当時からニナのファンです。そういった点から、これ以降の発言が偏重したものと思われるかもしれません。もちろん公平な視点から執筆していますが念のため。
ニナの評判は、最初はそれほど悪くなかった印象があります。とはいえ、第1話での上から目線で人間関係を気にしない発言から、劇中でもいわれたツンツンした感じが目立った女性でした。そうした点では可愛げのないヒロインだったかもしれません。
これが変化したのが、第2話での「きゃー! 私のガンダムが!」発言からでしょうか。筆者的にはここがツボでした。また、後に恋人となる「コウ・ウラキ」を心配してアドバイスするなど、ヒロインらしさが見え始めたのがこのあたりからでしょうか。
よく「主人公は成長するもの」だといわれますが、ニナも回を追うごとに人間的な成長を見せていました。後述しますが、ニナの発言を切り取る人は、まずこの序盤の発言を切り取る傾向にあります。確かに「ガンダム」に関する発言には、彼女の強すぎる思い入れがあるのは確かでしょう。それをニナの個性と取るか、変質的な部分と取るかは受け取り方次第です。
ちなみに筆者が昔から感じていた疑問のひとつは、「いつからニナは嫌われたのか?」という部分でした。OVA展開時はあまりそういった風潮はなく、声も人気声優の佐久間レイさんでしたから、むしろ人気はあった印象があります。
裏付けとして、当時の人気アニメキャラクターが選ばれる「三鷹市水道部」の描き下ろしポスターに、ニナはアナハイムの同僚たちと一緒に選ばれていました。このポスターを飾るのはこれまで、『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』の「銀鈴(ぎんれい)」や『新世紀エヴァンゲリオン』の「綾波レイ」、『サムライスピリッツ』の「ナコルル」といった、その時代を代表するようなキャラクターが選ばれてきています。
おそらくニナの評判が著しく急降下したのは、『0083』最終話が原因でしょうか。確かに結果的には、かつての恋人だった「アナベル・ガトー」についていき、コウを捨てたように見えます。しかし、これも冷静に紐解いていけば、そうではないことがわかるのではないでしょうか。