『デカレンジャー』放送から20年 刑事ドラマ由来の「特異な設定」 続編も多く人気のワケは?
『特捜戦隊デカレンジャー』が放送開始して20年になりました。放送中はさまざまな試みが成功して話題となった作品です。しかも、その後の活躍では他作品とのクロスオーバーで話題になっています。
モチーフは「刑事ドラマ」 怪人の「やっつけ方」にも特徴が?
本日2月15日は、2004年に「スーパー戦隊シリーズ」第28作目にあたる『特捜戦隊デカレンジャー』が放送開始した日です。今年2024年で20周年を迎えました。今なお続編が製作されるほどの人気作品の功績を振り返ってみましょう。
本作は「警察」をモチーフにした作品です。東映特撮作品では「宇宙刑事シリーズ」や「レスキューポリスシリーズ」など、警察モチーフ作品は多々ありますが、意外なことにスーパー戦隊シリーズでは本作が初となりました。
そのためか、刑事ドラマをモチーフにした仕掛けが用意されています。デカレンジャーのメンバーがお互いにあだ名で呼び合う部分がそうでした。これはドラマ『太陽にほえろ!』などからのオマージュでしょう。本作ではあだ名はお茶の名前で統一していました。ちなみに本名の名字は推理作家に由来しています。
刑事ドラマモチーフで作品に大きく影響した点は、これまでの「悪の組織」と戦う戦隊ではなく、散発的に起きる犯罪事件を捜査するというストーリー展開でしょうか。つまりデカレンジャーは悪の組織と戦うヒーローではなく、地球の治安を守るヒーローだということです。
そのため、毎回登場する「アリエナイザー」と呼ばれる宇宙犯罪者に、犯罪の斡旋や各種兵器のレンタルを行う武器商人「エージェント・アブレラ」という、シリーズ通しての敵役はいますが、黒幕であっても首領ではないというところがポイントでした。ちなみにアリエナイザーという名前の由来は、脚本の荒川稔久さんが子供のころに「ALIEN」を正しく読めず「ありえん」と読んでいたことに由来するそうです。
こういった理由からか、従来のシリーズでいうところの怪人や巨大メカの数は多く、放送話数の倍である100は超えると言われています。これは戦隊シリーズのなかでもっとも多い数かもしれません。
この設定を生かすため、本作では現在の地球(2004年当時)を舞台としながらも、人類が宇宙に進出し、宇宙人が当たり前のように社会にいるという架空世界となっていました。こういった従来の作品になかった、SF刑事ドラマとも言うべき設定が本作の魅力と言えるかもしれません。
刑事ドラマというと、最後は犯人逮捕で事件解決というのが基本でしょう。しかし、子供向けのヒーロー番組では「怪人を最後に倒す」というのが基本です。そのため、本作は折衷案として「ジャッジメント」というシステムを採用しました。
凶悪犯であるアリエナイザーを確保したデカレンジャーは、警察手帳にあたる「SPライセンス」をジャッジモードに変形させ、アリエナイザーの名前と罪状を読み上げます。このジャッジメント要請をはるか銀河の彼方の「宇宙最高裁判所」が受理、数秒で判決を下し、デリート許可が出たアリエナイザーをデカレンジャーが倒す……というシステムでした。
これまでの特撮刑事ヒーローのほとんどは自らの権限で怪人を抹殺していましたが、ここがデカレンジャーでは大きく変わった点と言えるかもしれません。もちろん、無罪になる例もあります。後に明かされた逸話では、宇宙最高裁判所の時間のスピードは地球の200万分の1程度で、地球では数秒程度でも現地では数か月も審議していることが明かされていました。