アニメ『葬送のフリーレン』で心配される「原作ストック」問題 2シーズン以降の打開策は?
TVアニメ化で大ヒットとなった『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』と『葬送のフリーレン』。原作を知っているファンでも、TVアニメを早く観たいものです。しかし、マンガ原作作品の宿命である「原作ストック」はどうなっているのでしょうか?
理想的な分割クール制で進行している『SPY×FAMILY』
最近のマンガ原作のTVアニメは、『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』や『葬送のフリーレン』など多くのヒット作を生んでいます。原作を知っていてもアニメでの展開が気になるもの。一刻も早くアニメとして動いているところを観たいと考える人も多いと思いますが、そう簡単にはいかない事情がありました。
十数年くらい前からマンガ原作のTVアニメは、それ以前とは異なるスタンスで制作されるようになっています。マンガ原作ストーリーを忠実にアニメ化するため、極力オリジナル要素を入れないような方向性。そのために、原作が一定値まで貯まるように休息を挟む「分割クール制」です。
この分割クール制の良いところはそれだけではありません。製作時間に余裕を持たせられることから、作品自体のクオリティを大きく上昇させることも可能となりました。つまり待たされた分だけ、作品として満足のいくものが観られるということです。
とはいえ、時間が経過すればするほど作品としての鮮度が落ち、その興味がほかの作品に移る可能性があるでしょう。つまり、長く待てばいいというものでもないわけです。
そこで近年、話題になった作品がおよそどれくらいの時間でアニメ化されたかを振り返りつつ、その原作ストックの量と今後のTVアニメ化に必要な時間を割り出していきましょう。
まずは『SPY×FAMILY』。連載は配信サイト「少年ジャンプ+」です。TVアニメSeason 1は分割2クールとなっていました。第1クールは2022年4月から6月まで12本を放送、第2クールは同年10月から12月まで13本を放送しています。その後、Season 2は2023年10月から12月まで12本を放送しました。
ちなみにここで使用された原作を話数表記で比べてみましょう。最初のアニメ12話で消費した原作は17話まで。次のアニメ13話から25話までは、原作では38話くらいでした。続いてSeason 2の26話から37話までは、原作の59話までをアニメ化していました。
『SPY×FAMILY』の原作マンガは通常のエピソードのほかに、時おり短編を交えて発表されています。そのため一概に比べられませんが、最初の1クールは17話消費していますが、以降のクールからは11話となっていました。これは徐々に原作にはない部分を、アニメで補完していったことが要因だと思われます。
ここから考えると、次のクールは原作70話くらいでしょうか。しかし原作では69話から76話までが長編になっていました。ひょっとしたらストーリーに支障がないエピソードを前後させるかもしれません。あくまでも筆者の想像です。
ちなみに原作は2024年1月22日の更新で94話でした。筆者の計算で考えればストックはおよそ2クール分あります。さらに原作マンガは2週に1度の更新が基本でした。1クール分を貯めるのにおよそ半年あれば大丈夫ですから、現在の分割クール制なら定期的にTVアニメは楽しめると思います。