アニメ『葬送のフリーレン』で心配される「原作ストック」問題 2シーズン以降の打開策は?
第2シーズンで原作は枯渇する? 『葬送のフリーレン』の抱える問題とは
続いては、「週刊少年サンデー」で連載されている『葬送のフリーレン』です。この作品の原作マンガとTVアニメの関係は、大きく分けてふたつのパターンがありました。短編のような1話完結のエピソードは、原作マンガ2話分でTVアニメ1本が製作されています。ちょうど前半Aパートで原作1話、後半Bパートで原作1話という感じでしょうか。
これが長編となると、そのパターン通りにはいきません。これまででいうと「アウラ編」は原作マンガで14話から23話でしたが、TVアニメでは7話Bパートから11話Aパートでした。およそ原作10話でTVアニメ4話の計算です。
現在放映中の「一級魔法使い試験編」の一次試験もTVアニメ18話から21話でしたが、原作マンガでは37話から45話と、短編の時よりも原作の消費が多くなっていました。連続ストーリーはテンポが重要ですから、どうしても原作の消費が激しくなるのでしょう。
この流れだと「一級魔法使い試験編」は、原作で終了する60話までTVアニメ化して第1シーズン終了となりそうです。時期的にも3月末ですから間違いないでしょう。問題は一定期間を置いてから再開される第2シーズンでしょうか。
どれくらいの期間を置いてから第2シーズンが始まるかは分かりませんが、仮に第1シーズンと同じく2クール放送する場合、50話以上の原作が必要となります。そうすると、仮に60話までを第1シーズンで消費するとして、第2シーズンは最低で110話までの原作が必要でしょう。
ちょうどそこにかかる話数で見ると、原作マンガ107話から119話が長編となっています。前述の長編は、話数を消費する法則を当てはめればちょうどいいかもしれません。おそらくはここまでが第2シーズンになるでしょう。しかし、大きな問題がひとつあります。それは現在、原作マンガは124話までしかありません。原作ストックの枯渇問題です。
さらなる問題として、『葬送のフリーレン』は基本的に毎週連載ですが、休載が多いことで知られる作品です。昨年2023年には13回しか連載されていません。もちろん作品のクオリティ維持は、優先すべき案件だと思います。原作マンガは無理せず連載を続けてもらって、TVアニメになるまで待つというスタンスがファンには必要なのでしょう。
もっとも、打開策がないわけではありません。不定期配信されているミニアニメ『葬送のフリーレン ~●●の魔法~』のようなオリジナルアニメ作品。または公式スピンオフ作品である『厨房のフリーレン』や『勇者ヒンメルの冒険譚』といった別作者による作品の逆輸入アニメ化といった方法です。
果たして作品の人気維持をどういう形で行うかは分かりませんが、原作マンガのTVアニメ化は思った以上に苦労が多いのは間違いないでしょう。
(加々美利治)