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10年前「消える」と言われた「重厚長大ゲーム」 結局生き残った理由とは?

「何十時間もTVの前に座り続けるゲーム」の未来はどうなった?

同じ果物をくっつけるとだんだん大きな果物になっていく『スイカゲーム』 (C)2021 Aladdin X Inc.
同じ果物をくっつけるとだんだん大きな果物になっていく『スイカゲーム』 (C)2021 Aladdin X Inc.

 さて、そこで冒頭の話に戻ります。2023年を振り返ってみると、大作や、やりごたえのあるゲームが数多く登場し、そして話題になりました。特に『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』や『バルダーズ・ゲート3』などは、本当にじっくりと腰を据えて長く遊ぶゲームです。

『パズドラ』の配信が2012年からで、実は同じ年に「Wii U」、そして翌年に「PlayStation 4」が発売されています。しかし、この頃の国内ゲーム業界では据え置きゲーム機のシェアが落ちていくという傾向もあり、じっくりと遊ぶゲームが求められていない、というように考えられたのでした。

 その後、「Ninetendo Switch」が発売されることによって、携帯ゲーム機と据え置きゲーム機の境界はあいまいになりつつ、大作ゲームがいらなくなる、遊ぶ人がいなくなる、という事態は起きていません。生き残った、といって差し支えないでしょう。

 もっともこれは、カジュアルゲームの衰退を意味していません。ご紹介した『パズドラ』だって、いまなお現役です。また特に面白い傾向としては、独立系、小規模開発系、いわゆるインディゲームの隆盛が挙げられます。果物を落として合体させる『スイカゲーム』や、無限に続く地下通路を異変に気を付けながら抜けていく『8番出口』が大変な話題になりました。新しいアイデアや、驚きのあるカジュアルなゲームが、インディから発売され、そしてそれが注目を集めるようになっています。

 結局、ゲームはどのようになったのかといえば、おそらく多様化したのだと思われます。重厚長大なゲームがいらなくなることもなく、カジュアルなゲームが廃れることもなく、さまざまなニーズにあわせたゲームが発売されるようになりました。

 スマートフォンが誰でも持っているゲームプラットフォームとして機能するようになったり、オンライン配信が一般的になって小規模開発のゲームが発売されやすくなったりと、基本的にはカジュアルなゲームが発売されやすい環境が整っていきました。それでも、ゲームメーカー渾身の1作が色褪せぬ輝きを放ち、廃れず生き残った結果、実にさまざまなゲームを自分に合わせて選べる良い時代が来ているように思います。

 しいていえば、やりたいゲームが多すぎて時間が足りないのが、唯一の悩みかもしれません。

(田下広夢)

【画像】え、悩ましい! コチラが「時間がいくらあっても足りない」ゲームたちです(5枚)

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