『アルプスの少女ハイジ』の名場面、原作では胸糞だった?「車椅子を壊したのは誰」論争
2024年で50周年を迎えた、1974年放送の名作アニメ『アルプスの少女ハイジ』のクライマックスは、ハイジの叱咤でクララが立てるようになったという場面です。その後に、クララの車椅子を壊す犯人を巡りちょっとした論争が勃発します。果たして車椅子を壊したのはクララなのか? ペーターなのか? 名作アニメの謎を振り返ります。
【真相】アニメと原作で違う「車椅子を壊した犯人」

1974年放送の名作アニメ『アルプスの少女ハイジ』は、2024年で50周年を迎えます。物語のクライマックスといえば、第51話「クララが歩いた」で車椅子に乗ったままだったクララが、ようやく歩けるようになった場面です。ただ、その直前には、クララ愛用の車椅子が壊れてしまいます。ここで、車椅子を壊したのは「クララだ」と記憶している人と、「ペーターだ」と記憶している人がいて、ネット上でもちょっとした論争になっています。
結論からいうと、アニメ版で車椅子を壊したのはクララでした。
第50話「立ってごらん」も、作品屈指の名場面として知られています。立とうとすると転ぶばかりで弱音を吐くクララに、ハイジは「クララのいくじなし! あたしもう知らない」といって、泣きながら駆け出します。ハイジを追いかけるように車椅子の手すりから手を離したとき、クララは自分の足で立っていたのです。
第51話「クララが歩いた」では歩く訓練を始めますが、何度も転んでしまいます。また弱気になったクララは、急に車椅子が恋しくなり、納屋からひとりで取り出そうとします。しかし、車椅子は斜面に転がり落ちてしまい、バラバラに……。
落ち込むクララを抱きかかえたおんじは、ハイジとともにペーターのいる牧場へ向かいました。ペーターとハイジの支えでリハビリをし、岩影に咲く野花を摘もうとしたとき、クララはいつの間にか歩けるようになっていました。
ここまでがアニメ版のエピソードです。一方、ヨハンナ・シュピリ氏(アニメではスピリと表記)によるドイツの児童文学作品である原作では、車椅子を壊したのはペーターでした。
アニメ版のペーターは、ハイジ同様にクララが歩けるよう願っている純真な少年です。ところが、原作のペーターはハイジとクララが仲良くしているのを見て、唯一の友達をとられたと嫉妬します。原作のペーターは、少々卑屈な性格だったのです。クララへの嫉妬心から、ペーターはわざと山の斜面に車椅子を落として壊してしまいます。
車椅子がないクララは、歩かざるをえません。そして、車椅子を壊した犯人がペーターだと知らないハイジは、ペーターにクララの力になるよう頼みます。ハイジとペーターの肩を借りて歩いているうちに、クララは歩けるようになるのです。
同じ「クララが歩けるようになる」場面でも、アニメと原作ではまるっきり印象が変わっています。ちなみに2015年に公開された実写映画『ハイジ アルプスの物語』でも、ペーターが車椅子を壊しています。