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【漫画】がんで余命半年 恐怖する男子高校生に幼なじみは「人殺し」を提案? 4万人が「深い」

肺がんで余命半年と宣告されてしまった男性高校生。家族や友人に話せずにいましたが、風変わりな幼なじみにだけに打ち明けることにします。肺がんという事実を笑い飛ばす彼女を前に、初めて他人に死への恐怖を吐露します。すると彼女はどうせ死ぬならと、意外な提案をしてきて……? 作者の築さんにお話を聞きました。

幼なじみが提案した最後の命の使い方とは?

死への恐怖を幼なじみに打ち明ける男子高校生(築さん提供)
死への恐怖を幼なじみに打ち明ける男子高校生(築さん提供)

 肺がんで余命半年と宣告されてしまった男子高校生。家族や友人にそのことを話せずにいましたが、ひとりでは抱えきれなくなり、風変わりな幼なじみの女の子だけに打ち明けることにします。肺がんという事実を笑い飛ばす彼女を前に、彼は初めて他人に対して死への恐怖を吐露します。すると幼なじみは、何か別の理由で死んだらいいと「最後の命の使い方」を提案します。それは命を賭けて挑む、財界の大物の殺害計画で……?

 築さん(@keeeezk)による創作マンガ『余命半年の男子高校生が人殺しを決意する話』がX(旧:Twitter)上で公開されました。今作は、『半年後に死ぬDK』という題名で「ヤンマガ月間新人漫画賞(第510回2022年10月期)」で佳作を受賞した作品です。

 いいね数は4万を超えており、読者からは「生かされてしまったから、死ねない理由ができてしまったわけだ」「めっちゃ考えさせられるな、深い……」「どうせ死ぬのなら人の役に立って死にたいよね」などの声があがっています。

 築さんは漫画家として活動しており、SNSにてマンガを投稿しています。また、文明崩壊後の世界を生き抜くファンタジーマンガ『もいもん』を「少年ジャンプルーキー」(集英社)にて連載中です。

 作者の築さんにお話を聞きました。

ーー今作『余命半年の男子高校生が人殺しを決意する話』が生まれたきっかけや、理由を教えて下さい。

 思いついたのは、ちょうどウクライナとロシアの戦争が始まった時期です。リーダーの独断によって起こった戦争のため、ロシア国内での批判の声も多かった記憶があります。ですが、要人とはいえ公共の場に現れることも多い人物なので、命が惜しくないひとりが相討ち覚悟でリーダーを殺せば戦争は終わるのではないか? というふとした思いつきを、余命半年の主人公と独裁者の対立として落とし込んだ物語になります。

ーー生と死について考えさせられる作品でした。今作を描くうえでこだわったポイントや、お気に入りのシーンなどはありますか?

「死が恐ろしいのはそれを待っている時間」という内容を伝えるのに、月曜日と日曜日を例に用いたのは一般的で分かりやすくできたかと思います。シーンというか舞台なのですが、主人公とヒロインが会話しているベンチが大阪の東石切公園がモデルで、大阪平野が一望できるお気に入りの場所です。いつかマンガの舞台として使用したいと思っていたので、活かすことができてよかったです。現地に赴いて写真を撮影し、それを元に3Dモデリングしてマンガ背景として使用しました。

最期のときを恐れる少年に幼なじみが提案した内容とは?(築さん提供)
最期のときを恐れる少年に幼なじみが提案した内容とは?(築さん提供)

ーー主人公と、ヒロインである幼なじみのキャラメイクが評判です。このキャラクター制作でこだわった点はありますか?

 ヒロインが主人公にまったく同情しないという点です。もし自分にどうしようもなく悲しいことがあった時に、どんな友人にどうして欲しいかという風に考えました。一般的には同情して慰めて欲しいと思う人が多いかもしれませんが、実際の問題解決には、それが大した問題じゃないと割り切り、別のことに目を向ける必要があると思います。このヒロインの場合は主人公の病気を笑い、さらには人殺しの提案をします。倫理的に正しくありませんが主人公には一番の救いになったはずです。

ーーたくさんの感想が寄せられています。特にうれしかった感想の声、印象に残った読者の声について、教えて下さい。

「なんかいい」「言葉にしにくいけど印象に残った」といった抽象的な感想が特にうれしかったです。僕はバンドのビートルズが好きなのですが、正直ほとんどの楽曲の歌詞を理解できていません。それでもいいと感じるのは、さまざまな要素の組み合わせによる彼らにしかない雰囲気や、匂いのようなものがあるからで、「なんかいい」という感想も、僕独自の作品の雰囲気や匂いの片鱗を少しは作れているのかなとうれしく思いました。

ーー築さんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。

 僕の作ったものを「いい」と思って欲しいという欲求が昔からありました。芸術系の大学に進学し、アート作品を作っていました。ですが、より持続的で多様性のある感動をもたらすのはやはり物語かなと思い、個人で無限大の表現ができるマンガというツールを選びました。独学に限界を感じて大学卒業後に3年勤めていた会社を退職し、2018年にマンガの専門学校に入学しました。

ーー今後、X(旧:Twitter)で発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?

 もちろん商業誌で連載したいという気持ちがあるのですが、できるだけX(旧:Twitter)などで最新話を無料公開して多くの方の目にとまるような創作をしていきたいと思っています。無料公開した場合、単行本の売上が下がってしまう可能性がありますが、創作したキャラクターを大勢に知っていただくのが最優先事項だと考えています。現在『もいもん』という作品を描いているのですが、作中の「マタニティキャット」というキャラクターがX(旧:Twitter)の検索にかかるのが非常にうれしいです。

●「ヤンマガWeb」に掲載された『半年後に死ぬDK』

●「少年ジャンプルーキー」(集英社)で連載中の『もいもん』

(マグミクス編集部)

【マンガ本編】がんで余命半年と宣告された高校生 恐怖する彼に、幼なじみの提案は「人殺し」?

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