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「パンチラばっか語ってんなよ」放送40年『宇宙刑事シャイダー』なぜ作風が少し違う?

「宇宙刑事三部作」の最終作『宇宙刑事シャイダー』放送から40年が経ちました。これまでの硬派な宇宙刑事のアクションが、女宇宙刑事アニーの華麗なアクションに変わったほか、新要素を加えた意欲作となっています。

これまでの定番要素を改革した意欲作『宇宙刑事シャイダー』

ロゴがメインの商品も(フィギュアは別売)。バンダイ「アクリルロゴディスプレイEX 宇宙刑事シャイダー」 (C)東映
ロゴがメインの商品も(フィギュアは別売)。バンダイ「アクリルロゴディスプレイEX 宇宙刑事シャイダー」 (C)東映

 本日3月2日は、『宇宙刑事シャイダー』が1984年に放送を開始した日です。今年で40年の節目となりました。今なお人気の高い「宇宙刑事三部作」の最後を飾った本作の魅力について振り返ってみましょう。

 それまでの「宇宙刑事」シリーズである『宇宙刑事ギャバン』『宇宙刑事シャリバン』は、主演にJACのアクション俳優を起用し、その華麗なアクションで作品をけん引していたところがあります。しかし前2作で同じ路線を続けてきただけに、本作では思い切った改革をすることになりました。

 それは主人公である宇宙刑事ではなく、パートナーの女性宇宙刑事にJACのアクション俳優を起用したことです。このアクション担当ともいえる存在となった「アニー」は大きな反響を呼び、本来の対象である子供はもちろん、幅広い層から注目を集めるヒロインとなりました。

 一方の主演となる「沢村大(だい)/宇宙刑事シャイダー」には、厳しいオーディションの末に新人であった円谷浩さんが選ばれます。この円谷さんを強く推薦したのが、メインライターを務めていた上原正三さんでした。それには大きな理由があります。

 名前からお察しのように、円谷さんは「特撮の神様」と呼ばれた円谷英二さんを祖父に持ち、父は円谷プロダクションの2代目社長だった円谷一さんでした。上原さんは円谷プロで脚本家デビューしたことから、そのことを恩義に感じていたそうです。そこで恩返しとして円谷さんを推したそうです。

 それゆえ上原さんの本作にかける意気込みはこれまで以上に高く、『宇宙刑事シャイダー』は劇場版を含む全49話の脚本を書くことを事前に約束しました。結果的にこれが本作独特の世界観の構築につながり、名作と呼ばれるきっかけのひとつとなります。

 本作の敵である「不思議界フーマ」は、独特の空気感を持った組織でした。前年の『シャリバン』が怪奇性を前面に出し過ぎたことで、子供たちに敬遠された経験からの方針転換だったそうです。

 これまでのような好戦的な行動隊長「ヘスラー指揮官」や、実働部隊の「ギャル軍団(当初はくノ一五人衆)」といった戦闘的なキャラはいますが、フーマの支配者「大帝王クビライ」の側近である「神官ポー」と、なんのためにいるのかわからない珍獣たちが、「不思議」としか形容できない本作独特の空気感を生み出しました。

 特に神官ポーは女性という設定でありながらも、担当俳優である吉田淳さんが男性であることから、本作の不思議な世界観の構築にひと役買っています。余談ですが、吉田さんは主演のオーディションを円谷さんと争った人でした。

 このほかにも、本作の世界観構築に忘れてはいけないのが「不思議ソング」です。フーマのテーマソングともいえる異様な雰囲気を持った歌で、作中歌やBGMとしても使われていました。本作のイメージ作りに必要不可欠となった曲です。

 フーマは本作第1話にて銀河系の星々に侵略を開始し、なかには滅ぼされる惑星もあったほどの強大な戦力を保有していました。そのためシャイダーとアニーは訓練途中の身でありながらも、正式な宇宙刑事として地球に派遣されることになります。こういった事情から、本作はふたりの宇宙刑事の成長物語という側面を持っていました。

 そして、それほどの戦力を持っているはずのフーマが、地球については美しいまま手に入れようとしたため、不思議ソングによる洗脳や民衆をコントロールして怠惰にするといった作戦を中心とした戦略を展開します。これには理由があり、作品の中で徐々に明かされていきました。

 こういった従来の敵組織とは異なった、直接的ではないアプローチが、本作の敵を「不思議」と思わせるのかもしれません。

【画像】色意外もけっこう違う 立体化された「ギャバン」「シャリバン」「シャイダー」を見比べる(9枚)

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