「フリーレン」と別行動には何かある? ラヴィーネ、カンネのそっけなさに注目
ラヴィーネとカンネの「気遣い」説も
●フェルンの想い
フェルンのフリーレンに対する感情は少し複雑です。普段は世話を焼いたり小言を言ったりする「保護者」ポジションを取りつつ、同時に魔法の師として敬愛しています。これは一見アンビバレンツな態度に見えますが両立可能な態度です。幼少期からずっと一緒にいたフェルンとフリーレンのリーダーシップは、日常と魔法の分野で逆転するのです。その上、フリーレンに対する独占欲も含まれており、フェルンのフリーレンに対する感情はひと言で言い表せません。
このようなフェルンの複雑で重い感情は、フリーレンに魔法をかけようと抱き寄せたメトーデからフリーレンを「取り戻した」時のふくれっ面からも明らかです。おそらくラヴィーネとカンネは女子会で、このようなフェルンの感情を察知したのでしょう。だから二次試験ではフェルンにフリーレンを独占させてあげようという気持ちになった、というのは考えすぎでしょうか。
●『葬送のフリーレン』は繊細な感情表現が魅力
アニメに限らず映画などの映像作品において、感情表現は登場人物の口から発せられた言葉だけではありません。ふとした時の表情や態度、距離感、口調、そのときに身に着けている衣服や小物などからも伝わります。言葉になる感情よりも、言葉にならない感情のほうが大きく、複雑で繊細なのです。
その点『葬送のフリーレン』は極めて感情表現が巧みな作品だといえます。フリーレンやフェルンは口数が少なく、叫んだり、大きく表情を動かしたりすることはめったにありません(ションボリしたりするデフォルメ表現は別として)。でも彼女たちに豊かな感情があることは視聴者の誰もが疑いようもなく確信しています。
二次試験でラヴィーネとカンネが見せた微妙なそっけなさ、距離感からも、視聴者に伝わってくる想いが確かにあるのです。
(レトロ@長谷部 耕平)