『北斗の拳』修羅の国に広まる「ラオウ伝説」とはなんだったのか 実は壮大な作り話!
『北斗の拳』修羅の国編で重要な要素として登場するのが「ラオウ伝説」です。いつか救世主として修羅の国を平定するという伝説はしかし、ホラ話だったことがのちに判明しました。果たしてなんだったのかを考察します。
民衆の希望だったラオウ

『北斗の拳』のいわゆる「修羅の国編」で、重要な要素として登場するのが「ラオウ伝説」です。「いつか『ラオウ』が海を渡り、救世主として修羅の国を平定する」という伝説は、修羅の国の隅々にまで知られており、ラオウ襲来に備えた「伝達の赤水」なるものまで用意されていました。「ラオウ伝説」とは果たしてなんだったのでしょうか。
「拳王」を名乗り恐怖と暴力の象徴として君臨していたラオウが、海ひとつ隔てた修羅の国では救世主として切望されていた――このキャラクター像のコペルニクス的転回は、当時の読者や視聴者に大きな衝撃を与えました。
ラオウ伝説、それはラオウが海を渡り、3人の羅将を倒して修羅に支配された民衆を解放するという物語でした。修羅に虐げられた民衆にとっては希望の星であり、民の中には命がけで海を渡り、ラオウと面会して「この国を握り次第この海を渡ろう!!」と約束を交わしたものさえいたほどです。

しかし実際には、ラオウ伝説とは「カイオウ」が作り上げたホラ話に過ぎませんでした。かつて、兄カイオウが修羅の国を作り上げようとしていると聞かされたラオウは、真実を確かめるためにカイオウの元へ向かい、久々の再会を果たします。ラオウはいずれ国を奪うと宣言はしたものの、ケンシロウとの決着を付けるためにその場は引き返しました。
このときカイオウは、自分の中にラオウへの情愛が残っていたことを自覚して、自らの体を傷つけ、その痛みで情愛を消し飛ばします。その日からカイオウはいつかラオウが戻ってくることを想定し、「ラオウ伝説とはこのオレの情愛との決別の証なのだ!」とのセリフにあるように、ラオウ伝説を自ら広め始めたのです。
ではなぜ、わざわざラオウを救世主とする必要があったのでしょうか。修羅の国を支配するカイオウならば、国の総力を挙げてラオウと配下の軍勢を迎撃する体制を整えればいいはずです。修羅によって虐げられた民草にわざわざ希望を与える必要はありません。カイオウの行動は支離滅裂といえますが、この謎を解くヒントが存在しています。
それは、北斗琉拳の力の源が「憎悪」である点です。


