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映画『ウルトラマンZOFFY』がシリーズを現在までつなげたといえるワケ 公開から40年

現在では意味不明な「過激実況」が効果的だったワケ

いまに続く「ウルトラ怪獣シリーズ」の栄えあるナンバリング「01」。バンダイ「ウルトラ怪獣シリーズ 01 バルタン星人」 (C)円谷プロ
いまに続く「ウルトラ怪獣シリーズ」の栄えあるナンバリング「01」。バンダイ「ウルトラ怪獣シリーズ 01 バルタン星人」 (C)円谷プロ

 こういった流れで劇場版が生まれたわけですが、本作がそれまで製作されたウルトラシリーズのオムニバス劇場用映画と大きく異なる点があります。それは怪獣カタログとも言うべき、ストーリーよりも見せ場を重視した作りに徹しているという点でした。

 新作の映像は基本的に物語を進行するゾフィーだけにとどめ、オムニバス映像も劇中の人物を見せないように編集しています。その結果、大人にはなつかしく、子供には小難しいストーリーのない理想的な怪獣映画となっていました。

 この構成を、より盛り上げたのが当時のプロレス中継で大人気だったアナウンサー、古舘伊知郎さんの起用です。新日本プロレスの実況中継番組「ワールドプロレスリング」で好評だった、独特な言葉選びによる「過激実況」は、本作でも怪獣相手に冴えわたっていました。

 思えば第二期ウルトラシリーズ誕生のきっかけとなった『ウルトラファイト』も、山田二郎さんによるプロレス実況風のナレーションが魅力でしたから、怪獣とプロレス実況というのは相性がいいのかもしれません。おそらく古館さんの起用もそれが理由だと思われます。

 もっとも現在の視点から観ると、「ラッシャー木村」や「アンドレ・ザ・ジャイアント」といったレスラー名や、「どんとぽっちい」といった流行語は理解不可能な世代もいるでしょうから、その面白さは半減するかもしれません。

 正確に言えば、ストーリー性は皆無というわけでもなく、物語には流れというものがありました。最初は『ウルトラQ』の怪獣の紹介から始まり、その頃はまだ人間の手で怪獣と戦えていたものの、徐々に強力な怪獣が増えていき、その危機を救うべく「ウルトラマン」が地球にやって来たことになっています。

 このため、『ウルトラQ』と『ウルトラマン』の怪獣の登場数は全体の半数ほどとなっていました。その後、「ゼットン」にウルトラマンが敗れたことで、代わりにウルトラ兄弟たちが来訪し、最後には兄弟たちが結束して「テンペラー星人」を倒す流れです。

 ちなみに現在でも議論となる、「帰ってきたウルトラマン」が「ウルトラマンジャック」と呼ばれるようになったのも本作が初めてでした。この時は誕生から13年も経過していたことで寝耳に水と思った人も多くいましたが、それからさらに40年も経過したわけですから、「ジャック」呼びが一般的になるのは当然かもしれません。

 ウルトラシリーズ空白期を支えた本作がなければ、現在のように新作のウルトラマンたちを見ることもなかった可能性はあります。そういう意味では、この映画はウルトラシリーズの歴史をつなげた作品といえるのではないでしょうか。

(加々美利治)

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