ピンクの正体は男? 初期スーパー戦隊を支えた「女形スーツアクター」の伝統とは
「女性より女性らしく」の理想を求めて女形スーツアクターの技術は発展した
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そして、1984年『超電子バイオマン』になると、女性戦士がピンクとイエローのふたりになります。
竹田さんに加え、それまで怪人や戦闘員のスーツに入っていた辻井啓伺さんがイエローのスーツアクターに抜擢されたものの、第1話の試写を見たときに、どう見てもマッチョ体型で女性に見えなかったため、体を鍛えるのをやめて、できるだけ細く見えるように努力したといいます。
また、鈴木美潮さん著『スーツアクターの矜持』(集英社インターナショナル)によると、『バイオマン』のピンクファイブ/桂木ひかる役の牧野美千子さんは、竹田さんのピンクを「柳のようにしなやかで動きにも丸みがある。首の傾げ方、頷き方なんて最高に可愛くて瑞々しい」と絶賛し、竹田さんに寄せてひかるの役を作ったそうです。
竹田さんによって女形スーツアクターのポジションが確立し、以後、蜂須賀祐一さんらによって受け継がれていきます。
21世紀になって仮面が小さくなったスーパー戦隊では、女性キャラはスーツアクトレスが演じるケースが多くなり、それとともに女性キャラだからといって、女らしい仕草にこだわることも少なくなりました。
2005年『魔法戦隊マジレンジャー』のマジブルーを皮切りに、数々の戦隊の女性戦士のスーツアクトを担当した野川瑞穂さんは、2015年の「リアルライブ」のインタビューで「キャラクターの性格には合わせますが、『女の子だから』と言って可愛く演じるのではなく、女性の私でしかできない『リアル』な戦う女の子を心掛けています」と語っています。
約50年の歴史を持つ戦隊シリーズでは、女性戦士に求められるポジションや演技も、時代によって変わっていったことがうかがえます。
(LUIS FIELD)