えっ…「不適切」過ぎません? 昭和の「ヤバいアニメ3選」 お色気、暴力、スポ根が満載
昭和の時代には、コンプライアンスが厳しい現代からするとあり得ないようなアニメがゴールデンタイムに放送されていました。そんな3作品をご紹介します。
視聴率20%! 抗議殺到! 伝説のお色気アニメ
阿部サダヲさん主演、宮藤官九郎さん脚本のドラマ『不適切にもほどがある!』が人気を博しています。昭和の時代から令和へとタイムスリップしてきた中年男性が主人公の物語で、ドラマのなかには今から見ると明らかに「不適切」な昭和の文化や考え方が次々と登場します。
昭和の時代には、お茶の間で流れたテレビアニメにも、今から見ると驚くほど「不適切」な表現や設定がたくさんありました。そんな作品を3つご紹介したいと思います。
●『まいっちんぐマチコ先生』
「不適切」といえば、真っ先に思い浮かぶのが、お色気ギャグアニメの『まいっちんぐマチコ先生』です。1981年からテレビ東京系列で放送されていました。グラマラスな肢体を惜しげもなく晒し、教え子のケン太たちから常に「ボインタッチ」をはじめとするセクハラを受け続けても「いや~ん、まいっちんぐ!」とポーズを決めるマチコ先生の姿が、昭和の小学生男子を直撃しました。
同作品は視聴率が20%を超える大人気アニメになり(布川郁司『クリィミーマミはなぜステッキで変身するのか?』)、「まいっちんぐ」は「チョメチョメ」や「ニャンニャン」と並ぶ昭和のお色気フレーズとして市民権を得ることになります。
原作者のえびはら武司先生は、藤子・F・不二雄先生のアシスタント時代、まわりのアシスタントが品行方正なマンガを描いているのを見て「お色気マンガを描いてやろう」と考え、うっかりノーパンで学校に来てしまった先生が主役の短編『マチコ先生のパンティー』を執筆します。それが学研の人に高い評価を得て『マチコ先生』の連載が始まったそうです。
「ボインタッチ」は『ハレンチ学園』の「スカートめくり」に対抗して編み出されたもの。マチコ先生のモデルは当時人気だったアグネス・ラム、宮崎美子、大場久美子でした(『昭和50年男』vol.15)。
全裸でのシャワーシーンは当たり前(OPに含まれている)、マチコ先生の服はしょっちゅうはぎ取られ、のぞきや「ボインタッチ」は教え子だけでなく同僚の教師や校長も一緒になって行っていました。とはいえ、全体のムードはカラッと明るく、教え子たちがマチコ先生の窮地を助けるエピソードや、人情もののエピソードも少なくありません。
正月や改編期には特別番組を放送するほどの人気でしたが、いくら昭和でも『マチコ先生』の性表現は看過されませんでした。「『まいっちんぐマチコ先生』に抗議する会」が発足するなど抗議運動が広がっていき、放映中止と原作マンガ回収を要求する署名運動、さらに原作マンガの版元である学研の学習誌の不買運動に発展します。
当時の資料によると、抗議の主眼は『マチコ先生』が男性にとって都合のいい女性像を描いていること、女性を性的な対象としてしか見なしていないことにあったようです。しかし、抗議によってアニメが打ち切られることはなく、『マチコ先生』は結局足かけ3年にわたって全95話が放送されました。