故・上原正三氏が手掛けた『秘密戦隊ゴレンジャー』 「正義と悪」を子供たちに示す
2020年1月2日、多数の特撮作品を手掛けた脚本家の上原正三氏が亡くなりました。上原氏の代表作のひとつで、現代まで続く東映戦隊シリーズの第一作『秘密戦隊ゴレンジャー』を振り返ります。
上原正三氏が手掛けた、多数の特撮作品

1975年から1977年にかけて放送された特撮テレビドラマ『秘密戦隊ゴレンジャー』は、現代まで続く東映戦隊シリーズの第一作であり、2020年1月2日(木)に亡くなった脚本家の上原正三氏の代表作のひとつでもありました。幼い頃から多数の上原作品に親しんできたライターの早川清一朗さんが、『秘密戦隊ゴレンジャー』への愛と上原氏への弔意をつづります。
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2020年1月2日、偉大なひとりの脚本家がその生涯を終えました。
その名は上原正三氏。『秘密戦隊ゴレンジャー』『がんばれ!!ロボコン』『ウルトラセブン』『帰ってきたウルトラマン』『イナズマンF』『宇宙刑事ギャバン』『宇宙刑事シャリバン』『宇宙刑事シャイダー』など、数多くの特撮番組に携わった、かけがえのない人でした。
筆者が脚本家という存在を意識したのは大人になってからですが、改めて上原氏の足跡をたどってみると、幼い頃から自分がどれだけ多くの上原作品を見てきたのか驚かされます。筆者に正義と悪を教えてくれたのは、間違いなく上原氏です。上原氏が書き上げた脚本は、人が人として生きるための大事な価値観として私のなかに息づいているのでしょう。
上原氏が担当した作品は膨大で、印象深い作品は数多くありますが、今回はその中でも筆者の最も古い記憶のひとつである、1975年から1977年にかけて放送された『秘密戦隊ゴレンジャー』を取り上げようと思います。
最近の戦隊は人数がだいぶ増えることもありますが、基本フォーマットである「メンバーは5人」「主人公たちは色違いの戦士に変身し怪人と戦う」「怪人と戦い必殺技で勝利する」という要素はこの作品で確立されました。巨大ロボットについては本作では登場せず、スーパー戦隊シリーズ第三作『バトルフィーバーJ』が初登場となります。
とはいえ当時の子供たちを楽しませるため、メカは豊富に存在していました。 ゴレンジャーのメンバーが腕に付けている通信機は、スマホが当たり前に存在する現代ではなんてことのないアイテムに見えますが、当時の子供たちにとっては憧れの品でした。ゴレンジャーに限ったことではありませんが、何か適当な物を通信機に見立て、子供同士で通信ごっこをして遊んだ記憶がある方も多いのではないでしょうか。筆者もその内のひとりです。
それにゴレンジャーが乗るバイク! アカレンジャーだけが専用バイクに乗っており、アオレンジャーとキレンジャー、ミドレンジャーとモモレンジャーはそれぞれコンビを組んでサイドカーに乗り疾走するあの格好良さは、忘れようもありません。空飛ぶ戦艦バリブルーン、バリドリーンの雄姿とその最後も、記憶に強く刻み込まれています。