「カテ公」と蔑まれた『Vガンダム』のヒロイン(?)はなぜ最後まで生き残ったのか
悪女として知られ「カテ公」なる蔑称まで広く使われる「カテジナ・ルース」は、物語の最後まで生き延びました。死にゆくキャラクターも多い「ガンダム」シリーズにおいて、彼女が生き残ったのには「意味」があるはずです。
物語開始直後はまっとうなヒロインだったのに
本日3月25日は、1994年にTVアニメ『機動戦士Vガンダム』最終回「天使たちの昇天」が放送された日です。今年(2024年)で30年が経過しました。
『Vガンダム』といえば、主人公「ウッソ・エヴィン」以上にファンの間で話題となったのが、その憧れの女性だった「カテジナ・ルース」です。
カテジナは一介の民間人でしたが、物語の初期に、本作における敵組織「ザンスカール帝国」の「クロノクル・アシャー」によって連れ去られました。その後、このクロノクルに惹かれるようになり、ザンスカール帝国のMS(モビルスーツ)パイロットとなってウッソの前に立ちはだかることになります。
クロノクルのもとにいる間カテジナは、徐々に考え方が変わっていき、ウッソと対峙する頃には冷徹な戦士の顔を見せはじめました。また、MSの操縦技術も格段に成長していきます。一介の民間人がMSパイロットとして実力を発揮するのは「ガンダム」シリーズでは定番といえるものの、カテジナはその中でも1、2を争うほどの上達ぶりといっていいでしょう。
さらにこのカテジナが注目された理由は、初期はお嬢様然としていたにも関わらず、戦いに身を置くようになってから言葉も行動も過激なものになっていったことです。その目に余る行動から、今でいうアンチが増え、作品のヘイトを一身に受けるほどのキャラクターとなっていきました。
悪役というものは嫌われて当然の存在です。しかし、そこには悪役なりの感情移入できる部分が何かしらあるものでしょう。カテジナの嫌われる最大のポイントは、この感情移入できる部分が見受けられない点です。すなわち、まったくキャラクターとして行動が理解できないところにありました。
「周囲から憎まれるために行動している」……そう思えるのがカテジナというキャラクターだったわけです。ファンがよくネタにする、ウッソの「おかしいですよカテジナさん」というセリフそのままに、「序盤に見せたやさしさは何だったのか?」と思うほどの豹変ぶりです。
その悪評の勢いはとどまることを知らず、パロディマンガ『いけ!いけ!ぼくらのVガンダム!!』(著:ことぶきつかさ/KADOKAWA)で「カテ公」と揶揄されると、それがファンの間では俗称ないし蔑称として使われるようになりました。また、「ガンダム三大悪女」という不名誉な称号も得ることになります。ちなみに三大悪女のなかでも存在は別格で、「筆頭」とか「不動の一角」と呼ぶ人も少なくありません。
筆者も放送中はカテジナの行動が理解できなかったのですが、とあることがきっかけで腑に落ちるようになりました。そして、その瞬間からカテジナを悪役以上に悲しい女性として見られるようになったのです。