壮大なSFアニメ『地球へ…』BS12で放映 原作者・竹宮惠子ら「花の24年組」が巻き起こした新しい風
竹宮惠子さんが1977年~80年に連載した『地球(テラ)へ…』は、壮大なスケールのSFマンガです。コンピュータがすべてを支配し、管理社会に異議を唱えた人間は排除されるという設定は、現代ではよりリアルに感じられます。1980年に劇場アニメ化された『地球へ…』、そして竹宮惠子さんが先陣を切った「花の24年組」の活躍を振り返ります。
星雲賞を受賞した本格的なSF作品
みなさんは「花の24年組」という言葉をご存知でしょうか。1949年(昭和24年)ごろに生まれ、1970年代のマンガ界に革新をもたらした女性漫画家たちの総称です。
竹宮惠子さん、萩尾望都さん、山田ミネコさん、樹村みのりさん……と、多彩な顔ぶれがそろっています。生年は多少前後しますが、山岸涼子さん、青池保子さん、大島弓子さん、坂田靖子さん、木原敏江さんらも「24年組」と呼ばれています。
少女マンガのみならず、「24年組」は次第に新ジャンルを開拓するようになります。そのトップランナー的存在だったのが、元祖BLマンガ『風と木の詩』を世に送り出した竹宮惠子さんです。竹宮さんのもうひとつの代表作『地球(テラ)へ…』は、1977年から1980年に「月刊マンガ少年」に連載され、優れたSF作品に与えられる「星雲賞」コミック部門を受賞。1980年に劇場アニメ化されています。
2024年3月24日(日)のBS12では、19時からの「日曜アニメ劇場」にて劇場アニメ『地球へ…』が放映されます。『地球へ…』の注目ポイントとあわせて、「花の24年組」の軌跡を振り返ります。
薬師丸ひろ子さんら人気俳優を声優に起用
遠い未来、人類は地球から離れた植民惑星で暮らすようになっていました。生活はすべてスーパーコンピュータで管理されており、システムに反抗的な考えや感情を持った者は直ちに洗脳されるか、排除される社会となっています。
14歳の誕生日を迎えたジョミー・マーキス・シンは、今の生活に疑問を感じつつも「適正審査」を受けることになります。そんなとき、超能力を持つソルジャー・ブルーからのテレパシーをキャッチします。
ソルジャー・ブルーによると、超能力を持つ新人類は「ミュウ」と呼ばれ、人類から迫害を受けているそうです。自分も「ミュウ」の一員であることを悟ったジョミーは、他の「ミュウ」たちと協力し、遠い故郷・地球を目指す旅へと向かうのでした。
声優陣には、当時のイケメン俳優、井上純一さん、志垣太郎さん、沖雅也さんらを起用。薬師丸ひろ子さん、秋吉久美子さんらも参加しています。
監督は、伝説の青春ドラマ『傷だらけの天使』(日本テレビ系)のオープニングを撮った恩地日出夫監督が務めています。メインキャストにキャラクターの衣装を着せてアフレコをさせるなど、ユニークな演出を施しています。名ばかりの監督ではなく、恩地監督は脚本から手がけるなど、劇場アニメという新ジャンルに熱心に取り組んでいたことが知られています。