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野球ができれば何でもできる! 野球万能バイアスを貫いた『大空魔竜ガイキング』とは

魔球を編み出すといえばスポ根アニメの定番です。しかし「ツワブキサンシロー」はロボットアニメの主人公でした。元プロ野球選手がスーパーロボットのパイロットになる『大空魔竜ガイキング』を振り返りましょう。

魔球を生み出した特訓に比べればロボの操縦なんて楽勝?

BANDAI SPIRITS「超合金魂 GX-100 ガイキング&大空魔竜」 (C)東映アニメーション
BANDAI SPIRITS「超合金魂 GX-100 ガイキング&大空魔竜」 (C)東映アニメーション

「魔球を編み出してプロ野球の世界で大活躍」という設定といえば、『巨人の星』『侍ジャイアンツ』などのスポ根漫画の主人公を想像するはずです。しかし、魔球を編み出したプロ野球投手「ツワブキサンシロー」はロボットアニメの主人公でした。野球で培った能力を活かして宇宙の侵略者から地球を守るロボットアニメ『大空魔竜ガイキング』を振り返りましょう。

 1976年に放映された『大空魔竜ガイキング』は、『マジンガーZ』(1972年)や「ゲッターロボ」シリーズなどの永井豪先生とダイナミックプロの原作をはじめて離れた、東映動画(現、東映アニメーション)初のオリジナルロボットアニメでした。

『ガイキング』の放送が開始された1976年は、読売ジャイアンツの王貞治選手が本塁打の世界記録に迫っていた頃です。王選手は現在の大谷翔平選手と同じように、技術も人格も優れた選手として世界からも称賛され、期待を集めていました。

 当時はプロ野球中継が必ず地上波で放送されおり、選手たちはスーパースターでヒーローでした。半ば神格化されているようなところもあったようで、かといって「プロ野球選手ならスーパーロボットを簡単に操縦できるかもしれない」という少々ぶっ飛んだ発想すら通用してしまったのかどうかは定かではありませんが、ともあれそうした世相を背景に、『大空魔竜ガイキング』は世に送り出されました。

 ツワブキサンシローはプロ野球チーム「レッド・サン」の二軍投手で、血の滲む特訓の末に魔球を編み出し、晴れて一軍のマウンドに初登板します。しかし、サンシローが投げたボールは、何度投げてもキャッチャーミットに届くことなくそのまま消えてしまいました。

 すると、途方に暮れたサンシローの上空から無数のボールが落ちてきて、その1球がサンシローの左手首に直撃します。それは地球の侵略をもくろむ「暗黒ホラー軍団」の仕業でした。そして、医者はレントゲン写真を見て「左手首の骨にひびが入っており、二度とボールが握れない」と宣告するのです。

「ひびがくっつけばまた投げられるのでは?」とツッコミを入れたくなりますが、そのままサンシローは野球選手を引退し、巨大ロボ「ガイキング」に乗り込み、恐竜型移動要塞「大空魔竜」のクルーと共に暗黒ホラー軍団と戦うことになります。

「どんなに厳しいことも魔球を編み出した特訓に比べたら大したことない」と、訓練もなしにいきなり「ガイキング」の合体を成功させたサンシローは、魔球を応用した必殺技「ハイドロブレイザー」を編み出し、そして暗黒怪獣を倒します。

【画像】時代とともに設定も変わった? これが新旧「ガイキング」です(4枚)

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