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神戸復興のシンボルとなった『鉄人28号』 巨大ロボ誕生の「意外なエピソード」とは

1995年の阪神淡路大震災で多大な被害を受けた神戸市で、復興のシンボルとして活躍しているのが『鉄人28号』です。鉄人の巨大モニュメントは震災の記憶を風化させないよう、その勇姿を誇り、観光スポットとしても賑わっています。鉄人の歴史を調べると意外な事実が浮かび上がってきます。

2009年、「鉄人」は復興と飛翔のシンボルに

神戸市長田区・若松公園に立つ、鉄人28号のモニュメント。2017年10月には、神戸市長選挙と衆議院議員総選挙等への投票を呼びかけるイベントが実施されている(画像:神戸市選挙管理委員会)
神戸市長田区・若松公園に立つ、鉄人28号のモニュメント。2017年10月には、神戸市長選挙と衆議院議員総選挙等への投票を呼びかけるイベントが実施されている(画像:神戸市選挙管理委員会)

 2020年1月17日(金)は、1995年に起きた阪神淡路大震災の発生から25年になります。この日は神戸市中央区東遊園地で早朝5時から「阪神淡路大震災のつどい」が行われるほか、震災の記憶を風化させないための追悼イベントが各地で開かれます。

 6400人をこえる犠牲者を出した阪神淡路大震災は、自治体から自衛隊への出動要請が遅れたこと、水道やガスなどライフラインの復旧が予想以上に時間を要したこと、復興後も被災者たちの多くがPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされるなど、さまざまな問題が浮き彫りとなりました。

 震災の被害が特に甚大だったのが神戸市長田区でしたが、ここでは懐かしいスーパーヒーローが震災からの復興のシンボルとして活躍したことが知られています。漫画家の横山光輝さんが生み出した「鉄人28号」です。震災から14年が経った2009年、長田区の若松公園に高さ15.3メートル、重さ50トンという巨大な鉄人28号のモニュメントが完成しました。

 総工費1億3500万円を投じた鉄人のモニュメントは、原作者の横山さんが神戸出身だったことから実現しました。震災で傷ついた街や人を元気づけるために建設されたものです。右手を突き上げた鉄人のポーズには、力強さがみなぎっています。「復興の次は飛翔」という願いも込められているそうです。

 復興、そして飛翔のシンボルとして、鉄人28号はぴったりのキャラクターでした。横山さん自身、貸本屋向けに細々と漫画を描いていた生活から、1956年に少年誌での連載がスタートした『鉄人28号』が当たったことで、売れっ子漫画家となっていきます。鉄人28号は連載途中から背中にロケットエンジンが取り付けられ、空を飛ぶようになります。これは読者からの要望に応えたものでした。

 1963年に『鉄人28号』はフジテレビ系でTVアニメ化され、大ブームとなります。終戦から11年後に誕生した鉄人は、高度経済成長期のシンボルとしてより広く愛されていくことになります。

 鉄人はいろんな玩具や文具などのキャラクターグッズにもなりました。シンプルなデザインで、似顔絵が描きやすかったことも人気の要因でした。『鉄人28号』は巨大ロボットもののルーツとして大躍進を遂げ、その後の『マジンガーZ』『機動戦士ガンダム』『新世紀エヴァンゲリオン』などが生まれる流れを作ったと考えることもできます。

【画像】デジタルで蘇る、1963年の『鉄人28号』アニメ第1作の映像(7枚)

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