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神戸復興のシンボルとなった『鉄人28号』 巨大ロボ誕生の「意外なエピソード」とは

戦争体験から生み出された「鉄人」のメッセージ性

原作マンガ『鉄人28号』《少年 オリジナル版》(復刊ドットコム)の表紙
原作マンガ『鉄人28号』《少年 オリジナル版》(復刊ドットコム)の表紙

 鉄人を操縦する“少年探偵”金田正太郎くんの短パン姿は「ショタコン」と呼ばれるマニアも生み出しますが、やはり『鉄人28号』の魅力は「あるときは正義の味方 あるときは悪魔の手先 いいも悪いもリモコン次第」と主題歌にも歌われた、あのリモコンにあるのではないでしょうか。

 普段は正太郎くんがリモコンを操縦することで鉄人は正義のロボットとして悪党を懲らしめるのですが、リモコンが悪意を持つ人間の手に渡ってしまうと恐ろしいことになります。無敵の鉄人が破壊神となり、街を粉々にしてしまうことになるのです。

 鉄人は太平洋戦争時に日本軍の秘密兵器として開発されたという生い立ちを持っていました。2004年に放映された今川泰宏監督によるTVアニメシリーズ『鉄人28号』(テレビ東京系)では、亡き父・金田博士が研究開発した“負の遺産”である鉄人28号に対する正太郎くんの葛藤がメインテーマとして描かれていました。

 フィクションの存在である鉄人28号だけでなく、コンピュータやインターネットなど軍事目的で開発され、今の日常生活に欠かせなくなっているものは少なくありません。1934年生まれの横山さんは、少年の頃に体験した米軍の爆撃機「B29」による神戸空襲の恐ろしさが脳裏に焼き付き、そのときの記憶が映画で観たフランケンシュタインの怪物のイメージと結び付き、鉄人28号を生み出しています。科学の力は使い方によっては平和利用できる一方、悪用される恐れもあるというメッセージ性を、『鉄人28号』から読み取ることができます。

 横山光輝さんは2004年に亡くなりましたが、69年にわたる生涯で『鉄人28号』以外にも、実に多彩なジャンルの傑作マンガを次々と生み出しました。『鉄人28号』に続く巨大ロボットもの『ジャイアントロボ』は1967年に実写ドラマ化され、最終回は当時の少年少女の涙を誘いました。『魔法使いサリー』は1966年に東映動画(現・東映アニメーション)でTVアニメ化され、記念すべき「魔女っ子」シリーズの第1弾となっています。

 さらには『仮面の忍者 赤影』で忍者ブームを過熱させ、SF漫画『バビル2世』は1973年にTVアニメ化され、爆発的な人気を呼びました。『マーズ』の衝撃的な結末も忘れられません。『三国志』全60巻を読破し、歴史ものの面白さに目覚めた人も多いことでしょう。

 月刊誌に連載された『三国志』は毎月100ページずつ掲載され、締め切りに遅れたことは一度もなかったそうです。横山作品の持つ日本人離れしたスケール感の大きさにも驚嘆させられます。横山光輝さんはまさに「マンガ界の鉄人」だったのです。

 若き日に生み出したキャラクターが故郷の復興のシンボルとなり、今も多くの人たちを明るく楽しませている光景に、天国にいる横山さんもきっと喜んでいるのではないでしょうか。

(長野辰次)

【画像】デジタルで蘇る、1963年の『鉄人28号』アニメ第1作の映像(7枚)

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