異変? この春にゲームファンが「悲鳴」をあげているワケ
いま上がっているゲーマーたちの悲鳴は、決して悲嘆や失望、怒りなどではありません。ですが、衝撃や驚きは含んでおり、ともすれば自身の無力感が混じる場合もゼロではないでしょう。一部のゲーマーたちに、いま何が起きているのか。この春の「異変」に注目します。
いま湧き上がる悲鳴のきっかけは、2月に始まっていた!?
ようやく気温が高まり始め、桜の開花を迎える地域も増えました。ようやく訪れた春らしい日々に、心を和ませている人も多いことでしょう。
ですが、一部のゲーマーたちはこぞって悲鳴をあげ、うららかな春とは全く無縁の日々を送っています。果たしてこの春、彼らに何が起きているのか。同じ事態に直面しているひとりとして、筆者の視点を交えつつ実態に迫ります。
●徐々に進行していた、悲鳴に至る展開
悲鳴といっても、何らかの事件や不幸が起きているわけではないので、どうかご安心ください。ですが、率直な心境としては、まさしく「悲鳴」以外の何者でもありません。
発端の時期は人によって異なりますが、今年の2月2日に発売された『ペルソナ3 リロード』という人もいます。人気シリーズの復活と変革を担った名作をフルリメイクした本作は、ファンから新規ユーザーまで惹きつけ、大いに話題となりました。
また、2月29日発売の『ファイナルファンタジーVIIリバース』が悲鳴を上げるきっかけになった人も多数いるでしょう。こちらも名作のリメイクですが、原作と異なる描写の数々が物語の結末を予想させず、プレイする手がコントローラーから離れてくれません。
ですがここまでなら、該当する一部のユーザーも平和なまま終われたのだと思います。しかし、現実は常に想像を上回るもの。両作品の濃密なプレイが終わる暇もなく、3月に新たな刺客が訪れます。
●一部のゲーマーをKO寸前に追い込んだ3月
3月の刺客は、これも人によって定義が違いますが、この月はまず3月8日発売の『ユニコーンオーバーロード』で幕を開けたといっていいでしょう。本作は、職人芸とも呼ばれる卓越したゲーム開発でファンから支持を集めるヴァニラウェアの最新作。相性の組み合わせによる奥深い戦略と、短時間で決着がつくスムーズなバトルは、これまでにないSLGとして興奮と刺激をもたらしました。
路線は一気に変わりますが、世界的に知られるヒロイン「ピーチ姫」が単独主人公として活躍する『プリンセスピーチ Showtime!』も発売され、ゲームファンを沸かせます。舞台ごとにさまざまな役柄に変じるピーチ姫と、それによって変化するアクションは千差万別で、新たな魅力を開花させました。
この『プリンセスピーチ Showtime!』が発売された3月22日は、カプコンが放つシリーズ最新作『ドラゴンズドグマ 2』や、19世紀の日本の日本を舞台とする『Rise of the Ronin』のリリース日でもありました。この2作品はどちらもオープンワールドのアクションRPGで、プレイに没頭すると再現なく時間が溶けていきます。
ここまで2月と3月に登場した話題作を取り上げましたが、察しの良い人はすでにお気づきのことでしょう。ジャンルこそさまざまですが、いずれもボリューム満点のゲームばかり。それが間隔を空けず、短期間にこれほど連続的に発売されるのは、1年を通してみてもかなり稀な事態です。
『ペルソナ3』はこれまでリマスター化やPSP版はあったものの、本格的なリメイクは今回の『ペルソナ3 リロード』が初でした。また、『FF7 リバース』は前作と比べてボリュームが格段に増しており、探索要素からミニゲームまで全ての面でパワーアップを遂げ、全要素を満喫しようと思ったら100時間を超えるほどの濃密さです。
2月の新作だけでも時間が大きく奪われるのに、遊びごたえ満点の『ユニコーンオーバーロード』、ピーチ姫の新たな魅力を描く『プリンセスピーチ Showtime!』、前作の弱点だったフィールドの狭さを大幅に改善した『ドラゴンズドグマ 2』、手に汗握る剣戟アクションをオープンワールドで表現する『Rise of the Ronin』と、時間泥棒と呼べるラインナップが続々と押し寄せてきました。
こうした期待作や話題作のラッシュが続き、プレイ中のゲームが終わる間もなく、遊びたいゲームが次々に襲い掛かってくる──こうした状況にハマった一部のゲーマーたちが、「とても遊びきれない!」と嬉しい悲鳴を上げる状況に追い込まれているのです。