「初期ならでは」「便器を倒すには」『キン肉マン』笑撃の勝敗場面
オールドファンにはお馴染みだと思いますが、マンガ『キン肉マン』は連載開始当初、ギャグ要素の強い作品でした。超人同士のバトルでは、意外な技で結末を迎えることもあったのです。特にキン肉マンの試合では、その傾向が強く見られました。
キン肉バスターを習得する前のキン肉マンは何を決め技にしていた?
2024年1月4日、YouTubeの『キン肉マン 公式チャンネル』で「新キン肉マン宮野真守×初代キン肉マン神谷明 声優超人の友情パワー対談」が公開されました。動画内で初代キン肉マンの声を演じた神谷さんは、当時の収録について「ギャグがあったから救われた」と語っています。
最近の『キン肉マン』はギャグのイメージが薄いかもしれませんが、アニメも原作マンガも、初期のストーリーではギャグ要素が強く描かれています。超人同士のバトルも、今から思えばふざけているような結末を迎えることがありました。
たとえば、コミックス3巻「大逆転!の巻」で、頭にカレーライスをのせた残虐超人の「カレクック」と対戦したキン肉マンは、試合開始当初、カレクックの凶器攻撃に苦しめられます。のたうち回るキン肉マンがぶつかった拍子に、カレクックの頭上にのっていたカレーライスが落ちて割れてしまうのです。代わりにのせるものを探したカレクックは、最終的に牛乳を頭にのせます。
その牛乳を飲み干したキン肉マンは、何の脈絡もなくプロレスラーの「G馬場」やテニスプレイヤーの岡崎さんに変身するのでした。それぞれの姿でカレクックに猛攻を加えたキン肉マンは、元の姿でも攻撃を加えます。恐れをなしたカレクックは、リングから逃げ出してしまいました。残虐超人のはずのカレクックが、こんなに簡単に怖がって逃げるのかと驚かされます。
また、コミックス8巻「因縁が因縁を呼ぶ!! の巻」でのキン肉マンの決め技も、意外なものでした。甲子園球場のラッキーゾーンに設営されたリングで、ロウソクの身体を持つ「キングコブラ」と対戦したキン肉マンは、ロウで体を固められピンチに陥ります。しかし、キングコブラが頭のコブラでキン肉マンに噛みつこうとした瞬間、球場で行われていた試合のホームランボールが飛んできてコブラの部分に直撃するのでした。
すると、まるで帽子が飛ばされるようにキングコブラの頭からコブラが落下します。露わになったキングコブラの頭は、ロウソクのようでした。そして、キン肉マンはロープとの摩擦を利用して、ロウソクに火を付けます。この火を自分では消せないと判断されたからなのか、この時点でゴングが鳴らされ、キン肉マンは判定で勝利を収めるのでした。観客によっては「まだ闘えるだろう!」と文句のひとつも言いたくなるような結末です。
そしてキン肉マンは、次戦で「ベンキマン」と闘います。ベンキマンの必殺技は、相手を丸めて身体のベンキに流してしまうというものです。一度は流されてしまい、万事休すかと思われたキン肉マンは、自分のパンツでベンキを詰まらせて脱出するのでした。
その結果、ベンキマンは大量の水をあふれさせてしまいノックアウトされます。肉体をぶつけあって勝敗が決まるはずの超人同士の闘いが、パンツが決め手になるとは、子供の頃は笑わされました。
その後のキン肉マンは「キン肉バスター」や「キン肉ドライバー」などの技で、まじめに試合を決めることが増えました。新シリーズ前に、もう見られない『キン肉マン』初期のふざけた決着を読み返してみてはいかがでしょうか。
(LUIS FIELD)