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『巨神ゴーグ』放送から40年 安彦良和氏が心血を注いだが、「コンセプト」が独特すぎた?

放送が延期されたことで受けた恩恵とは?

主人公の悠宇が大きく描かれる、『巨神ゴーグ』挿入歌「TWILIGHT」「CALL MY NAME」(ビクター・エンタテインメント)
主人公の悠宇が大きく描かれる、『巨神ゴーグ』挿入歌「TWILIGHT」「CALL MY NAME」(ビクター・エンタテインメント)

 放送が遅れたことで本作の制作時間に余裕が出来ました。それゆえに『巨神ゴーグ』のクオリティは当時のTVアニメとしては大変高いものになっています。

 その最大の理由は、安彦さん自らが全26話中24話の各話で作画監督を担当していることでした。しかも残りの2話の作画監督は土器手司さん。この作品で安彦さんから認められた土器手さんは、翌年1985年に『ダーティペア』のキャラクターデザインに抜擢されています。

 作画の面だけでも破格のクオリティを維持している本作ですが、文芸面も隙のない布陣となっていました。メインの脚本は多くのヒット作品で知られる辻真先さん。演出には劇場用アニメ『クラッシャージョウ』でも演出を手がけた鹿島典夫さん、さらに後に劇場用アニメ『アリオン』でも活躍する浜津守さんという布陣でした。

 スポンサーであるタカラからは「安彦さんの自由にやってくれていい」と言われたそうで、それゆえに安彦さんの思い描く冒険譚アニメとして『巨神ゴーグ』は完成します。もっとも、それゆえに流行のロボットアニメとは異なる作品にへと仕上がったと言えるでしょう。

 その結果、メイン商品となるオモチャの売り上げは苦戦しました。しかし、タカラはこれまでにない商品で『巨神ゴーグ』の魅力を伝えようとします。それが「Qロボ」と言われる低等身キャラのオモチャでした。

 このQロボのデザインは本作の作画とメカデザインを担当していた佐藤元さんです。当時はまだディフォルメキャラは各社でも手探り状態でした。後に大ヒットとなる「SDガンダム」が展開されるのも翌年の1985年からのこと。そういう意味では先駆けとなった商品です。

 また、制作がTV放映より進んでいたことで当時としては珍しいビデオソフトとしても本作は販売されていました。しかも最終回の入っていたビデオソフトはTV放送よりも先に店頭に並んでいたという、異例の速さで販売されています。

 このように特筆する点が多い作品でしたが、当時から現在に至るまで人気のあった作品とは言い難い評価となりました。それはやはり、一般視聴者層が望むロボットアニメではないという点が大きいのではないでしょうか?

 当時を含めてロボットアニメに望まれるものは「バトル」であり、その点から見れば『巨神ゴーグ』は評価の低い作品と言わざるを得ません。しかし、前述したように安彦さんの目指していた冒険譚としての物語は素晴らしい完成度と言えるでしょう。

 ロボットアニメとしては商業的には失敗だったかもしれませんが、少年の冒険譚として見れば、本作の魅力に気づく人も多いことと思います。

(加々美利治)

【画像】「えっ…そうなの?」 これが、「ゾウ」がモチーフだった『巨神ゴーグ』です(4枚)

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