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『ドラえもん』50周年に読みたい、連載当時の「まいっちんぐ」な裏事情

2020年に連載50周年を迎えた『ドラえもん』の連載初期、『まいっちんぐマチコ先生』のえびはら武司先生が同作のアシスタントを務めていました。アシスタントの視点で見た、当時の藤子不二雄先生と『ドラえもん』の裏事情とは?

『ドラえもん』を打ち切りから救った「ひと言」

えびはら武司先生の代表作として知られる『まいっちんぐマチコ先生』第1巻(画像:イーブック イニシアティブ ジャパン)
えびはら武司先生の代表作として知られる『まいっちんぐマチコ先生』第1巻(画像:イーブック イニシアティブ ジャパン)

 2020年は、マンガ『ドラえもん』連載開始から50周年の節目。先月12月に世界初のオフィシャルショップ「ドラえもん未来デパート」がオープンしたのを皮切りに、3月8日(日)には恒例の長編劇場アニメ第40作『のび太の新恐竜』が、8月7日(金)には3DCG長編映画『STAND BY ME ドラえもん2』が公開予定と、ファンならずとも気になる企画が目白押しです。

『ドラえもん』が、これだけ長く愛され続ける作品になった背景に、あるひとりのアシスタントの情熱がありました。そのアシスタントこそ、後に「まいっちんぐ!」の決め台詞で一大ブームを起こしたお色気コメディ『まいっちんぐマチコ先生』のえびはら武司先生なのです。

 えびはら武司先生は、エッセイ漫画『藤子スタジオアシスタント日記 まいっちんぐマンガ道 ドラえもん達との思い出編』で連載当時を振り返っています。

 えびはら武司先生がアシスタントとして藤子スタジオを訪れたのは1973年。当時まだ藤子・F・不二雄先生と藤子不二雄A先生は「藤子不二雄」として活動していましたが、すでに合作はしておらず、アシスタントを共有しながら個別に作品を描いていました。

 劇画ブームの影響か、その頃の「藤子不二雄」としてのメインの作品は藤子不二雄A先生の『魔太郎がくる!!』で、アシスタントの多くも『魔太郎』など藤子不二雄A先生の作品に注力していました。学年誌を中心に活動していた藤子・F・不二雄先生には不遇の時代で、当初『ドラえもん』の体の縦線は、事務員の女性がアシスタント代わりに入れていたそうです。

 そこで、自身の絵柄が近いえびはら武司先生は藤子・F・不二雄先生を積極的に手伝い始めます。次第にえびはら先生は周囲から、藤子・F・不二雄先生の「一番弟子」と称されるようになっていきました。

 そんななか、連載開始から数年が経過したものの、人気上昇の兆しが見えない『ドラえもん』に打ち切りの話があがります。悩んでいる藤子・F・不二雄先生に、えびはら武司先生は思わず「だめですよ」と声をかけました。

 打ち切りの理由のひとつとして、当時日本テレビ系列で放送されたTVアニメ『ドラえもん』の終了がありますが、えびはら先生によれば、このTVアニメ版は「いじりすぎて原作の良さがなくなっちゃった」もので、「そんなアニメが終わったからって、原作まで終わらせる必要はないですよ!!」と熱弁しました。この発言が功を奏したのか、藤子・F・不二雄先生も『ドラえもん』を継続する決心をして編集部を説得したそうです。

【画像】懐かしすぎ!『まいっちんぐマチコ先生』の定番シーン(7枚)

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