『ドラクエ4コマ』が面白かった理由を中井一輝先生が語る ガンガン作家との思い出も
「エニックス系」作品ににじみ出る、作家同士の親しさ

ーー「楽屋裏」でタイジャンホクト先生と仲が良いと書かれていました。他の作家との交流は?
私が執筆していた当時は『ドラクエ4コマ』の発行ペースもそこまで早くはなかったので、1冊発行されるごとに打ち上げがあって、居酒屋でやるんですけれど「中井くんは未成年だからジュース」が定番で。本当に色んな編集さんや先生方からいじっていただけました(笑)。
作家同士の交流は盛んだったと思います。当時未成年だった私は、その物珍しさもあってか色んな作家さんたちから遊びのお誘いをいただきました。
『ドラクエ4コマ』の作家でいうと、石田和明先生、きりえれいこ先生、新山たかし先生たちのお花見に参加させてもらった思い出があります。
ーー「月刊少年ガンガン」の作者コメント欄で、「編集に内緒でガンガンの作家さんたちとディズニーランドに行った」と書かれていた号がありました。
当時はTwitterやLINEはおろか、メールすらない時代で、作者同士のやり取りは主にFAXで、イラストや文章を書いて送り合っていました。
柴田亜美先生が『ハーメルンのバイオリン弾き』の渡辺道明先生宛のFAXに何気なくミッキーマウスっぽいイラストを描いたんです。それに対して渡辺道明先生が「ミッキーはこんなじゃなかったっけ?」と描いて返して、そのやり取りが作家同士で回覧板のように回ってきました。
マンガを描くために上京して来て、ディズニーランドに行ったことがない作家さんも多かったので「じゃあ実際に行ってミッキーを確かめてみよう」と。他に『ZMAN』の西川秀明先生、『突撃!パッパラ隊』の松沢夏樹先生など、そうそうたるメンバーが勢揃いした「ディズニーランド遠足」にタイジャンホクト先生や私もお呼ばれしました。
編集部に秘密にして遊んだのは、集まるのを禁止されていたわけではなくて、季節的に「年末進行なのに遊んでいる」と思われるのを気にしてのことです(笑)。
お花見もディズニーランドも、編集部の企画ではなく、作家同士でスケジュール調整して開催していたのだから、かなり仲の良い集団だったと言えるのではないでしょうか。
『ドラクエ4コマ』をはじめとしてギャグマンガが多かったこともあってか、制作現場の空気感や、仲の良い雰囲気がなんとなくにじみ出ているのが当時の「月刊少年ガンガン」や「月刊少年ギャグ王」などエニックス系雑誌のカラーの一要素になっていて、それも人気の一部だった気がします。