「脳だけ生き残る」「仲間を皆殺し」 TVと異なる衝撃展開の「昭和ヒーロー」マンガ
昭和を彩った特撮ヒーローたちはTV番組だけでなく、原作のマンガ作品も人気を博しました。TV版の印象が強い原作のなかには、実写とは大きく異なる衝撃展開が繰り広げられたこともあります。今回は、「昭和ヒーローマンガ」の衝撃展開を振り返りましょう。
本郷猛が銃撃で死亡?
昭和の時代には、さまざまな特撮ヒーローがTVで放送され、多くの子供たちを魅了しました。なかには原作がマンガ誌に連載されていた作品もありますが、その内容はTV版と大きく異なる展開が繰り広げられたことも少なくありません。今回は、昭和ヒーローマンガの衝撃展開を振り返りましょう。
●『仮面ライダー』
石ノ森章太郎さんの代表作のひとつである『仮面ライダー』(1971年~1973年)の原作は、TV版と同じく1971年から「ぼくらマガジン」「週刊少年マガジン」で連載が始まりました。
仮面ライダー1号、2号でお馴染みの本郷猛や一文字隼人が登場し、世界征服を企む悪の秘密結社「ショッカー」と戦うという大筋のストーリーはTV版と同様ですが、全6パート中の4パート目で、主人公の本郷が殺されるという衝撃展開が描かれていました。
生身の姿だった本郷は、12人のショッカーライダーに囲まれ、一気に銃撃を受けてしまいます。駆けつけた一文字によって救い出されるも、一文字は「完全に死んでいる」と諦めるほど手遅れの状態でした。
しかし、懸命な蘇生措置を施したところ、本郷の脳だけが正常に機能する状態まで回復し、最終的にガラスの器のなかに保管されることになります。さらに本郷の脳は一文字とリンクされ、一文字は作中で「これからおれが本郷猛になる」「かれの遺志をついで」と決意を表明するのでした。
ちなみに脳だけの状態になった本郷と一文字は心のなかで会話できるようで、「もっとスピードをあげるんだ…隼人!」「いくぞ猛 これからは おれたちは もう ひとりぼっちじゃない!」とやり取りをしています。
TV版からは想像できないほどの衝撃展開で、読者からは「TVの印象が強いせいか、一文字隼人に切り替わるのは複雑な思いになった」「『シン・仮面ライダー』も原作をもとにしているのが良く分かる」といった声があがっていました。