後継作品ではラスボスに! ライダーたちの「迷惑」な相手「アポロガイスト」登場50年
『仮面ライダーX』に敵幹部「アポロガイスト」が登場して半世紀、のちの作品『仮面ライダーディケイド』では再登場するのみならず、ラスボスを務めるほどの人気を獲得しました。その歩みを振り返ります。
シリーズ初のライバルキャラとして誕生
本日4月13日は、1974年に『仮面ライダーX』第9話「Xライダー必殺大特訓」が放送された日です。このエピソードから「仮面ライダー」シリーズ初のライバルキャラといわれる、「GOD秘密警察第一室 室長『アポロガイスト』」が本格的な活躍を見せはじめました。
実は、「アポロガイスト」の登場は前話である第8話「怪!? 小地球・中地球・大地球」からになります。しかし、このエピソードでは顔見せといった意味合いが強く、セリフもありませんでした。
その名前は企画書の時点で存在しており、敵組織「GOD」の怪人のアイディアとして、神話や伝説のイメージを持った怪人、「アポロガイスト(力)」「闇アテナ(知恵)」といった表記があります。
アポロガイストは、作品初期にあった「水城涼子」と「水城霧子」を巡る展開が決着したことで登場した形となりました。同時に、メイン脚本家だった長坂秀佳さんも降板し、本作が打ち出そうとしてきた新機軸、言ってしまえばマンネリ打破の挑戦は一度、白紙に戻ったといえるでしょう。
しかし、本作の独自路線は終わったわけではありません。それはアポロガイストの存在自体が、これまでの「ライダー」シリーズになかったものだからです。
アポロガイストには、従来の「ライダー」シリーズの大幹部にはない特徴がいくつかありました。そのひとつは、普段は純白のスーツと黒いネクタイの青年として行動し、「アポロチェンジ」の掛け声で戦闘形態に変身するというもので、「悪の仮面ライダー」といえるようなキャラクター造形がなされており、いわばライバルキャラクターです。これまでの大幹部はアジトで指揮を執る存在であって、ライダーたちより年配であり、変身も最後の戦いに限定されていました。
これらのことからアポロガイストを、『人造人間キカイダー』の「ハカイダー/サブロー」、『快傑ライオン丸』の「タイガージョー/虎錠之介」と並ぶ存在、主人公の好敵手、ライバルキャラと位置付ける人も多くいました。
しかしアポロガイストには、「ハカイダー」や「タイガージョー」にはなかった特徴があります。それは揺るぐことのない組織への忠誠心でした。ライバルキャラといえば、宿敵(おもに主人公)との決着を優先することで組織のことは二の次にしてしまうというケースが多々見られますが、アポロガイストのGODへの忠誠は不動のもので、アウトローではなく組織人だったといえるでしょう。
どちらが魅力的かという問題はさておき、この個性がアポロガイストの魅力でした。その結果、本来なら1か月ほどで次の大幹部「ブラックマルス」と交代する予定を、人気があることから交代せず続投することが決まります。そして作中では「再生アポロガイスト」として、パワーアップして復活を果たしました。
これにより、さらに「仮面ライダーX/神敬介」との戦いは熾烈を極めていき、そのライバル関係は視聴者の注目となります。その最後の戦いもXライダーを道連れにしようと執念を見せ、作品前半を大いに盛り上げました。本作の影の主人公といえるかもしれません。
その見せ場は戦いだけにとどまらず、GOD怪人に店を壊されて憤慨する「立花藤兵衛(おやじさん)」の前に現れ、良い印象を与えたいからと神敬介の香典および店の修繕費として札束を置いていくというシーンがありました。こういった妙な律義さに女性ファンも多いといわれています。