『逆襲のシャア』漢気か背信か…なぜシャアはアムロに「サイコフレーム」を渡したのか
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』が公開されて35年あまり、いまだ議論のつきない争点のひとつが、なぜシャアはサイコフレームをアムロに渡したのかという問題です。シャアは何を考えていたのでしょうか。
そもそも「サイコフレーム」ってなんなの?
劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』について、1988年の公開当時から論争となっているのが「なぜシャアはサイコフレームをアムロに渡したのか」という問題です。純軍事的にいえば最新構造材である「サイコフレーム」を敵に渡すなどありえない話であり、事実、最終的にはモビルスーツ(MS)「νガンダム」に搭載されたサイコフレームの力が、アクシズの地球への落下を阻止しています(諸説あり)。シャアは何を考えていたのでしょうか。
そもそも「サイコフレーム」とは何なのでしょうか。その機能のすべてが明かされたわけではありませんが、大まかに言えば「サイコミュ」の機能である「ミノフスキー粒子の震動を受信、増幅し、ニュータイプの意志をそのまま機械に伝える能力」を持つ構造部材であり、MS「ヤクト・ドーガ」開発の際にサイコミュの装置を小型化したことによって省略された機能を代替するために開発されています。
アムロが使用したものは初期のサイコフレームで、強度が不十分であり、コクピット周りや機体各所に分散配置する形で使用されただけでしたが、それだけでも「νガンダム」の性能向上と敵ニュータイプとの交感にひと役買っていました。アムロがサイコフレームの扱いに慣れていなかった当初は、味方が人質にされた際に危険を感じ、防衛本能が反応して、サイコミュ兵器であるところの「フィン・ファンネル」が暴走、人質の死を招く事態も発生しましたが、アクシズを巡る攻防戦では、アムロがシャアの元へたどり着くために大きな役割を果たしたといえるでしょう。
仮に「νガンダム」がサイコフレームを搭載していなければどうなっていたのでしょうか。
アムロおよび「νガンダム」は、「ヤクト・ドーガ」とモビルアーマー(MA)「α・アジール」にかなり苦戦することになるでしょう。シャア配下のパイロットで「ヤクト・ドーガ」を駆る「ギュネイ」については、初戦で「目が良すぎる」癖をすでに見切っているので倒せるとは思いますが、「フィン・ファンネルバリア」はアムロの「やられる!?」という感情に反応して形成されており、つまりサイコフレームが無ければ構築されないため、この段階でアムロが倒されていてもおかしくはないのです。