クラスの話題は『ドラクエ2』一色! 「ジャンプ」も後押しした熱狂
『ドラクエII』の予約ができていなかった! 焦る小学生…
ついに『ドラクエII』の発売日を迎え、当時の筆者は焦りに焦っていました。そう、なんと筆者は予約をし損ねていたのです。 確かに予約したはずだったのですが、いかんせん小学生のやることです。発売日の2日ほど前にお店に確認しにいったところ、なんと予約を受け付けていないと言われ絶望的な気分になりました。
しかし発売当日は未予約分販売のために整理券が配られると教えてもらい、その日は学校をサボってでも……と考えましたが、いかんせん田舎町だったので小学生が街をウロウロしていれば怪しまれます。そもそも親が許してくれません。
その日、授業などうわの空。ひたすら「早く終われ! 早く終われ!」と念じ続け、学校が終わった瞬間にまずはお金を取りに家に向かって猛ダッシュしたのを覚えています。いかんせん大金を持ち慣れてないので、学校に持っていく気にはならなかったのです。
家に着き、ランドセルを放り出してお店に向かおう。まさにその時でした。先に家に帰っていた姉が「『ドラクエII』の整理券もらってきたよ?」と一枚の紙きれを差し出してくれたのです。 いつもTVのチャンネル争いに敗れて悔しい思いをさせられていた姉でしたが、あのときは神様に見えました。
こうして意気揚々とお店に向かった筆者は無事に『ドラクエII』を手に入れ、「ふっかつのじゅもん」の長さに苦しみながらも新たなドラクエの世界を思う存分楽しむことができたのです。『ドラクエII』は発売直後からどこも売り切れでしばらく手に入らなかったため、姉には感謝の気持ちしかありません。
それからしばらく学校の話題は『ドラクエII』一色。
「いなずまのけんはここにあったわ」
「ザオリクが使えるサマルトリアの王子が真っ先に死ぬから世界樹の葉を取りに行くのめんどうくさい」
「ハーゴンを倒すと真のボスが出る」
などなど、懐かしい思い出ばかり。
とはいえ無事に手に入れられたクラスメイトは良かったのですが、手に入れられなかったクラスメイトはだいぶ肩身が狭そうにしていたのを覚えています。
この時の『ドラクエII』の品薄が、後に抱き合わせ販売や大行列、「ドラクエ狩り(カツアゲ)」などの社会問題を引き起こしてしまうのですが、それはまた別のお話で。
(早川清一朗)