『ドラクエ』3にあって初代と2にない「謎の道具」 消えた理由を考察
「ドラゴンクエスト」シリーズの地位を確固たるものにした「ロト3部作」を時系列に並べると、最も古い時代のはずの『ドラクエ3』には貴重な道具が登場しています。なかでも、その後の時代には登場しなかった道具は、どのような理由で消えてしまったのでしょうか。「ドラクエ」ファンのひとりとして、その理由について考察しました。
『ドラクエ』の舞台であるアレフガルドにあった道具
国民的RPG「ドラゴンクエスト」の初期シリーズである『ドラゴンクエスト』『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は「ロト3部作」ともいわれ、同じ世界の、異なる時代を舞台にしています。3作品を時代順で並べると、発売時期とは異なり『ドラクエ3』→初代『ドラクエ』→『ドラクエ2』の順になります。
この時代順で見た場合、最も古い『ドラクエ3』に登場した道具が、後の時代にはないことに気が付きます。その理由については公式からの言及はなく、明確な理由は不明です。そこで小学生の頃に「ロト3部作」をリアルタイムでプレイしていた筆者が、道具が消えてしまった理由について考察しました。
まず、それぞれの作品の世界が、どのようにつながっているか整理します。『ドラクエ3』は物語が始まる「地上世界」と、地上世界のボスであるバラモスを倒した後に「ギアガの大穴」を通ってたどり着く、地下世界の「アレフガルド」で構成されています。
このアレフガルドが舞台になったのが初代『ドラクエ』で、さらにそこから100年経ち、アレフガルドを中心に広がった世界を舞台にしたのが『ドラクエ2』です。
『ドラクエ3』のエンディングで、勇者は「ロト」の称号を受け、アレフガルドの英雄と呼ばれます。ただ、その後の勇者の姿を見たものはおらず、行方不明になってしまうのでした。
ただ初代『ドラクエ』や『ドラクエ2』にはロトの子孫が登場するため、『ドラクエ3』の勇者は地上世界に戻れず、アレフガルドに留まったと考えられます。
その上で、『ドラクエ3』に登場した道具について見ていきましょう。戦闘中に道具として使用すると、パーティ全員のHPを80前後も回復できる「けんじゃのいし」は、アレフガルドにあるゾーマ城の宝箱から入手できます。ですが、初代『ドラクエ』と『ドラクエ2』には登場しません。
けんじゃのいしは貴重なアイテムですが、戦闘中にしか使用できません。ゾーマを倒して平和になった世界では、魔物との戦闘もなくなり、けんじゃのいしを使う場面がなくなったのでしょう。勇者が装備していた剣や鎧(よろい)などは、象徴として分かりやすいため、「ロトの装備」として後世に伝えられたと思われますが、効果の分からない石に関心を持つ住民は少なかったのかもしれません。
けんじゃのいしは、人知れず行方不明となり、『ドラクエ』や『ドラクエ2』の時代には忘れ去られた存在になっていたというのが、ひとつの考察です。