コンスコンは「本当に無能」だったのか? ガンダム史に残る「伝説の大敗」を考察
名将から信頼を得ていた描写も
●コンスコンが犯したミス
コンスコンにとっては、浮きドックとホワイトベースがコンスコン艦隊の直線上にあったことも不運でした。砲撃が当たって壊れた浮きドックの残骸が、たまたまホワイトベースを守る遮蔽物になってしまい、先手をとったにもかかわらずトドメを刺せなかったのです。
奇襲をかけ、数の面で優位に立ちながら、何の戦果もあげられなかったコンスコン艦隊。指揮官としては完全にお手上げ状態で、「全滅? 12機のリック・ドムが全滅…? 3分もたたずにか?」「傷ついた戦艦1隻にリック・ドムが12機も……バケモノか」と、放心状態でボヤきたくなるのも当然です。
このとき椅子に崩れ落ちた彼の姿は情けなく映り、それが無能な指揮官というイメージをより印象づけてしまったことでしょう。
そしてコンスコン艦隊は、サイド6を離脱するホワイトベースを再び待ち伏せし、今度は6機のリック・ドムで攻撃を仕掛けます。一度ガンダムにコテンパンにやられながら、前回を下回る戦力で挑んでしまったのは、明らかに指揮官として冷静さを欠いており、敗北するのも必然でした。
もしかすると、初戦は憎きシャアの来援で救われるかたちとなったので、彼のプライドは傷つけられたでしょうから、そのことが影響したのかもしれません。
●宇宙攻撃軍総司令官の腹心としての評価
ドズル・ザビにとって、ホワイトベースを倒すことは弟「ガルマ」の仇討ちであり、憎いシャアの無能さを証明することにつながります。本来であればコンスコンに任せず、自ら艦隊を率いて出撃したかったはずです。しかし、連邦軍の宇宙拠点「ルナツー」に集結しつつある同軍艦隊の動きも無視できず、腹心のコンスコンにホワイトベース討伐を託しました。
この決断からも、ドズルがコンスコンを信頼していたことがうかがえます。劇中でも、「ソロモン要塞」を出立するコンスコンの艦隊を、ドズル自らが敬礼して見送るシーンが描かれていたのが印象的でした。
そしてコンスコンの階級は「少将」であり、これはザビ家の長女で、突撃機動軍を束ねる「キシリア・ザビ」と同じ階級です。ドズルから信頼され、特務を命じられたコンスコンであれば、大型戦艦であるグワジン級に乗艦しても不思議ではないのですが、チベ級が旗艦だったのは中立のコロニーをムダに刺激しない意図が隠されていたのかもしれません。
ともあれ、ザビ家の人間でもないコンスコンが本当に無能者だったら、いかに世渡り上手でも、将官まで昇進するのは難しいはずで、劇中には描かれていない功績があったのは間違いないでしょう。
そのあたりを加味して考えると、サイド6周辺の戦いにおいては、コンスコンが無能だったというより「覚醒したアムロとガンダムが凄すぎた」と捉えるのが正しいのかもしれませんね。
(大那イブキ)