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『Gガンダム』TV放送から30年 それまでの「ガンダム」を徹底的に壊したワケ

ガンダムシリーズでも特異な作品『機動武闘伝Gガンダム』が放送開始して30年。いまなおシリーズでもっとも異質な作品が生まれたのには大きな理由がありました。それゆえに後世に残るいくつかの偉業を成し遂げたのです。

あえて過激な「化学反応」を狙った『Gガンダム』

2024年で30周年を迎えた『機動武闘伝Gガンダム』 (C)創通・サンライズ
2024年で30周年を迎えた『機動武闘伝Gガンダム』 (C)創通・サンライズ

 今日4月22日は、1994年に『機動武闘伝Gガンダム』の放送が開始された日です。今年2024年で30年が経過しました。「ガンダム」シリーズの大きなターニングポイントとなった本作について振り返ってみましょう。

 本作の企画には紆余曲折がありました。当初、「ポルカガンダム」とのタイトルで進行していた時点では、火星移民者が地球へ帰還するために地球住民と戦うという物語だったそうです。比較的、それまでのガンダムシリーズと変わらない方向性の作品でした。

 スタッフも決まって製作はかなりの段階まで進んでいたようですが、途中で企画は中止となります。これには諸説ありますが、従来通りの「ガンダム」では、ヒットは見込めないという判断だったのでしょう。

 そこで新たな要素として加えられたのが、当時流行していた『ストリートファイターII』などの対戦型格闘ゲームの要素でした。リアルな世界観で築いてきたガンダム世界にとって、この要素は水と油に等しく、大きな化学反応を狙ってのことだったのでしょう。

 この難行を引き受けることになったのが今川泰宏監督でした。その就任に関して、これまでの「ガンダム」シリーズを製作してきた富野由悠季監督から「ガンダムをプロレスものにしたほうがいい」と推薦されたといわれています。一方で、スポンサーからの意向だったという発言もありました。

 諸説あっても、「ガンダム」という作品を新たなステージに立たせるには、今川監督しかできなかったというのが当時の意見だったのでしょう。その後の今川監督が関わったTVアニメ『鉄人28号』(2004年)や『真マジンガー 衝撃! Z編』(2009年)を見てもわかる通り、作品を新たな世界観で構築するという面において今川監督は秀でた才能を見せています。

 こういった理由から難航した本作のスタートは、通常よりも遅くなりました。そして番組としてのスタートが従来の4月第1週からでなく、4月第4週までズレ込むことになります。そのため「プロローグ編」と呼ばれる、それまでの「ガンダム」シリーズのハイライトと『Gガンダム』の製作の舞台裏を紹介する特番が3本、製作されました。この番組の進行役は、当時の人気俳優であるマイケル富岡さんと内山信二さんです。

 こうして従来の「ガンダム」を壊して、新たな「ガンダム」を生み出すという役目を持たされた本作『Gガンダム』は、それゆえに従来の「ガンダム」ファンからは敬遠されることとなりました。そのため、番組開始時はゼロからのスタートどころか、マイナスからのスタートと思えるほどの逆境的な状況だったのです。

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