昭和にあった「コレジャナイ」人気アニメのバッタもん 「後追い・類似企画」はなぜ減った?
昭和から平成の初期にかけての時代には、何かのコンテンツがヒットすると、似たよう作品が次々と放送され、お茶の間をにぎわせたものです。しかし最近ではあまり見かけない光景になりました。なぜなのでしょうか?
「類似企画」減少の背景に「企業倒産」が?
まだアニメや特撮が黎明期だった昭和時代には、何か大きなヒット作が出ると、続々とどこか似たような作品が登場するのが当たり前でした。『人造人間キカイダー』や『仮面ライダー』がヒットを飛ばせば、しばらくすると新たなバイクに乗り哀愁を帯びたヒーローが誕生していたものです。
おもちゃの面でもまだ著作権の概念が浸透していなかったことから、町工場でどこか愛嬌を帯びた偽物「バッタもん」が量産され、子供たちの喜ぶ顔を見ようと親御さんたちが家に持ち帰っていた時代がありました。心づくしのお土産を子供たちが喜んだのか「これじゃない!」と叫んだのかは分かりませんが、どちらにせよ、いまとなってはできることなら戻りたい大切な記憶のひとつであるのは間違いないでしょう。
むしろ、現在では「バッタもん」にも価値が見いだされるようになり、コレクターまで存在しているというのですから驚かされます。しかし正規品ならメーカーに資料が残っている可能性はありますが、「バッタもん」となると作った人間の記憶も怪しければ簡単に口も開いてくれないでしょうから、調査とコレクションは至難の道が待ち受けているでしょう。
しかし、最近はこのような風景はまったく見られなくなりました。それはなぜでしょうか。
ひとつには、かつて数々の玩具ブームを起こしたメーカーが、すでにこの世にないことが挙げられます。
「ウルトラ」シリーズをスポンサードし怪獣ブームの立役者となった「ブルマァク」はオイルショックのあおりを受け倒産。『機動戦士ガンダム』のメインスポンサーだった「クローバー」はその後の作品が振るわずに『聖戦士ダンバイン』の放送中に倒産。『赤胴鈴之助』時代からキャラクターグッズを手掛けた玩具業界の先駆者である「タカトク」も1983年にスポンサードした『超時空世紀オーガス』、『イタダキマン』、『銀河疾風サスライガー』、『特装機兵ドルバック』がいずれも不調に終わり、倒産の憂き目を見ています。
結果として、おもちゃ業界はほぼバンダイとタカラ(現:タカラトミー)に集約されることとなり、中小メーカーのスポンサードで何らかのコンテンツ企画を推し進める形での事業形式は、廃れていくこととなりました。