マグミクス | manga * anime * game

マンネリ打破? 戦隊のドラマ展開が「敵の内紛」から「裏切り」に変わった理由

どんでん返しに次ぐどんでん返しで、最終回まで目が離せない曽田ワールド

「スーパー戦隊 OFFICIAL Mook 20世紀 1987 光戦隊マスクマン [雑誌] (講談社シリーズMOOK) 」 (講談社)
「スーパー戦隊 OFFICIAL Mook 20世紀 1987 光戦隊マスクマン [雑誌] (講談社シリーズMOOK) 」 (講談社)

 また、第11作の1987年『光戦隊マスクマン』では、スーパー戦隊版『ロミオとジュリエット』が展開します。

『マスクマン』のリーダーであるレッドマスク「タケル」の恋人の「美緒」は、実は地帝帝国チューブから送り込まれたスパイ「イアル姫」でした。しかし、人間のタケルを愛してしまったために地帝王「ゼーバ」の怒りを買い、地底深く氷柱に閉じ込められてしまいます。

 また、イアル姫の双子の兄である地帝王子「イガム」はチューブの指揮官となることで、ゼーバに滅ぼされたイガム家を再興しようと目論んでいました。タケルを愛したために「イガム家の恥」となってしまったイアル姫の恥をそそぐためにも、イガムはタケルに敵意をむき出しにします。ここから「離れ離れになったタケルと美緒は再会できるのか?」という軸で、物語は展開します。

 イアル姫とイガムは浅見美那さんのひとり2役でした。イガムは男のふりをしているという設定でしたが、女性らしい浅見さんのイガムはどう見ても男性には見えず、終盤の「実は女性だったというオチ」は、「今まで誰も女性だと気が付かなかったの?」と突っ込みたくなった視聴者も少なくなかったでしょう。それでも、敵組織のなかに戦隊メンバーの恋人が囚われており、その兄弟が敵組織の幹部という今までにない設定で最終回まで目が離せない展開になりました。

 ほかにも、毎回「友よ。君たちはなぜ、悪魔に魂を売ったのか!?」というフレーズで始まる第12作1988年『超獣戦隊ライブマン』は、文字通りかつての同窓生が敵味方に分かれて戦います。武装頭脳軍ボルトの支配者ビアスにスカウトされ、科学アカデミアのエリートだった「月形剣史」はドクター・ケンプ、「仙田ルイ」はドクター・マゼンダ、「尾村豪」はドクター・オブラーとなって、ビアスが掲げる「千点頭脳」になるべく地球を襲いました。

 一方、「ライブマン」であるレッドファルコン「天宮勇介」や、イエローファルコン「大原丈」は科学アカデミアの落ちこぼれです。優れた頭脳だけを必要とするボルトと、あらゆる生命を大切にするライブマンとの戦いが繰り広げられました。

 敵のビアスの目的は、千点頭脳を集めて自らの若さを保つことです。ケンプたちだけでなく、ドクター・アシュラやチブチ星人「ブッチー」などのボルト幹部は、全員ビアスに利用されていました。

 そして、いち早く「千点頭脳」争いから脱落したドクター・オブラーこと尾村豪以外は、ビアスに利用されたまま命を落としてしまいます。元は普通の人間でライブマンの同窓生だったドクター・ケンプやドクター・マゼンダが、自分の優秀さにこだわるあまり滅んでいく姿はむなしく憐れでした。最終的にビアスも滅び、「頭脳よりも命の方が大切なんだよ」と教えてくれる深い物語です。

 曽田さんは第14作『地球戦隊ファイブマン』までメインライターを務め、ユニークな設定とドラマチックな展開で、スーパー戦隊の歴史を彩っています。

(LUIS FIELD)

【画像】え…っ? 「美しい」「でも声は男」 これが『チェンジマン』で「裏切った」女敵幹部「シーマ」です(3枚)

画像ギャラリー

1 2