1977年放送『快傑ズバット』 打ち切りの理由は「視聴率が良すぎたから」
不遇な終わり方を迎えた『快傑ズバット』

ズバットは手にした鞭を振るい、用心棒や戦闘員と戦い勝利します。問題はその後。
大抵の場合、暴力組織の長を捕らえると、「飛鳥五郎という男を殺したのは貴様だな!? 貴様だな!?」とド迫力で問い詰めます。「違う、知らない!」と否定されても「嘘をつくな!」と詰め寄り、最後は叩きのめして罪状を書き記した「ズバットカード」を置いてその場を立ち去ります。
細部やセリフは毎話異なりますが、大体こんな感じで話は進んでいきます。現代ではこんなヒーロー番組、絶対作れない気がしますね。
この早川健、宮内氏はだいぶ楽しんで演じていたようで、レーザーディスクのライナーノーツに掲載されたインタビューで「俺のやりやすいように皆が考えてくれて、演技やアクションのアイディアをどんどん取り入れてもらったなぁ」と語っています。またオープニングでセスナから降りたあとの投げキッスはアドリブだったそうで、撮り終わった瞬間に、キャメラマン(原文ママ)がこらえきれずにプッと吹き出したそうです。
数々の日本一の技比べについては脚本を読んで次の用心棒がどんな技で来るのか分かったら、ある程度サマになるように撮影の合間に練習を重ねていたというのも、宮内氏のヒーローへのこだわりを強く感じるエピソードです。
そんな『快傑ズバット』ですが、当初1年続くはずが32話で打ち切りの憂き目にあってしまいます。メインライターを務めた長坂秀佳氏が理由を尋ねたところ、「数字(視聴率)が良すぎたから」という驚きの答えが返って来たそうです。特撮ヒーロー番組は子供向けのおもちゃを売って利益を出すものなのですが、視聴者の年齢層が想定よりも高く、人気があるのに売れ行きが良くなかったので終了せざるを得なかったのです。
不遇な終わり方を迎えた『快傑ズバット』ですが、カルト的な人気はその後も続き、1999年に発売された『スーパーヒーロー作戦』のTVCMでは宮内氏が早川健に扮し、元気な姿を見せてくれました。
この記事を書くために久々にレーザーディスクの『快傑ズバット』を引っ張り出してみてみましたが、けれん味あふれる演技と演出、そして熱量は「すさまじい」のひと言。傑作は何年経っても傑作なのだと、改めて感じています。
(早川清一朗)