マグミクス | manga * anime * game

脳裏から離れない『ロマンシング サ・ガ』独特なセリフ回し「な、何をする貴様らー」

1992年1月28日、スクウェア(現:スクウェア・エニックス)から発売されたスーパーファミコン用ソフト『ロマンシング サ・ガ』。特徴的な熟練度システム、フリーシナリオに加え、独特なセリフ回しが印象的なゲームです。

脳裏を離れない「な なにをする きさまらー!」

『ロマンシング サ・ガ』画像はニンテンドー3DS向け移植版(スクウェア・エニックス)
『ロマンシング サ・ガ』画像はニンテンドー3DS向け移植版(スクウェア・エニックス)

 2020年の幕開けから早くも1か月が過ぎようとしている1月28日。この日、1本のスーパーファミコン用タイトルが生誕28周年を迎えました。それは、スクウェア(現:スクウェア・エニックス)から発売された『ロマンシング サ・ガ』。特徴的な熟練度システム、そして時には迷うことさえあるフリーシナリオを実装し、その後のシリーズ作品を生み出す礎となった一本です。

 上述の通り、本作は1992年当時において独創的とも言える雰囲気を醸し出していました。計8名の主人公からひとりを選んで冒険に出発する仕様をはじめ、武器をふるった回数に応じて必殺技を習得したり、戦闘をこなすうちにゲーム内時間が経過したり……。「次は〇〇に向かってくれ」「ボスを倒した後は〇〇まで進め」というナビゲートに乏しかった部分や粗削りだった面もありますが、それでも「個々人の遊び方によって道中の展開が幾重にも変わる」点は斬新だったのではないでしょうか。

 そんな『ロマンシング サ・ガ』で筆者が特に印象深いのは、やはり作中に頻出する独特なフレーズ。本シリーズ作品の脚本を務める河津秋敏氏は、独創的なゲームシステムに勝るとも劣らないセリフ回し(俗に言う河津節)をいくつも生み出してくれました。

 そのなかで例を挙げるなら”アイスソード入手イベント”は絶対に外せません。「ねんがんの アイスソードをてにいれたぞ!」と主人公に語りかけてくるガラハド。テキストだけでも脳内再生ができそうな程に、自信に満ちあふれた態度が伝わってきます。

 しかし、ここで多くのプレイヤーは彼を倒すことになるのです。「殺してでも うばいとる」を選択した直後、「な なにをする きさまらー!」と断末魔の叫びを残して消えるガラハド。その光景の一方、いつの間にか主人公の所持品に追加されているアイスソード……。ちなみにボタン連打でイベントを進めている場合は、「殺してでも~」の選択からガラハドの消失、アイスソード入手まで1秒もかかりません。一連の流れは一瞬ですが、この時のインパクトとシュールさが脳裏から離れることはないでしょう。

 続く1993年12月10日に発売された『ロマンシング サ・ガ2』でも河津節は健在。今にも息を引き取りそうな皇帝レオンとジェラールの会話中に現れる選択肢「はい、はい」は、長いイベントシーンに飽きて話を適当に聞き流すモニター前のプレイヤー心理に近しいものを感じました。「はい、はいを選ぶと何が起こるんだろう?」と興味を引き立てる要因になりますし、シンプルに「はい」と「いいえ」ではないあたりに脚本担当者のセンスが光ります。

 そしてシリーズ最後のスーパーファミコン用タイトル『ロマンシング サ・ガ3』では、登場キャラクターの断固とした意思が感じられるセリフ「いやです」も見逃せません。詩人の言い放った4文字には、何物にも代えがたい決意が現れていました。

 他のキャラクターと違い、気軽にパーティーから離れてくれない。パーティーから外そうにも結局帰ってくる。四魔貴族を倒す前にパーティーから外すためには、わざわざLP(ライフポイント)を削りきって退場させないといけない。セリフそのものは短いながらも、正式にパーティー除隊の手続きが面倒な背景とあいまって、いつまでも記憶に残り続けています。

 今回取り上げたセリフを含め、功績を上げた偉人の言葉や古来より読みつがれてきた名著と同じく、『ロマンシング サ・ガ』に端を発する名言の数々は今後も変わらずにファンの胸中に残り続けるでしょう。

(龍田優貴)

【画像】ゲームシステム・セリフも独特な『ロマサガ』の歴史

画像ギャラリー