『ガンダム』偽物のジム、再利用されたザク… 連邦・ジオンを巡るMSが胸アツ
「ガンダム」シリーズには数多くのモビルスーツが登場し、思い入れのある機体は人によってさまざまでしょう。また特殊な経緯をたどって開発されたMSもあり、歴史を紐解くと面白い事実を知ることもできます。今回は、「ニセモノMS」や「再利用された敵軍のMS」などを振り返ります。
ジオン軍による「偽ジム」に連邦軍のパイロット練習用に使われた「ザク」

1979年に放送が始まった『機動戦士ガンダム』から現在まで続く「ガンダム」シリーズには、多種多様なモビルスーツ(以下、MS)が登場し、各シリーズで、さまざまなドラマが生まれました。機体の種類も豊富なため、思い入れのあるMSは人によって違うでしょう。
なかには、「特殊なMS」も存在します。例えば、作戦のために敵軍の機体に似せて開発されたMS、敵軍の機体なのに自軍の運用のために活用されたMSなどです。
敵軍の機体に似せて開発されたMSといえば、『MS IGLOO』本編をコミック化した『機動戦士ガンダムMS IGLOO 603』(作画:MEIMU、原作:矢立肇、富野由悠季)に登場する「ゲム・カモフ」を思い出した人は少なくないでしょう。
ゲム・カモフはジオン軍によって開発された機体で、見た目は地球連邦軍の代表的なMSである「ジム」にそっくりです。「ザクII」をベースにしているため、「ジムに偽装したザク」「偽ジム」といわれています。ジムに偽装することで、相手に攻撃されることなく、接近して攻撃をしかけることが狙いでした。
作中では第603技術試験隊に配属された「エンマ・ライヒ」がゲム・カモフを操縦し、実戦では見事に戦果を上げました。しかし、偽装の完成度が高かったために、味方兵に誤射されてライヒは戦死してしまいます。「敵軍のMSに似せる」という作戦は、戦時法上の問題がありそうですが、この作戦に至ったのは、それほどジオン軍が追い詰められていたという見方もできるでしょう。
一方で、地球連邦軍もジオン軍の代表機であるザクIIを運用していた事例があります。OVA作品である『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』では、地球連邦軍がパイロットの評価試験や練習用に使うMSとして「ザクII F2型」を活用していたシーンが描かれています。そもそも同機はザクIIを改良した機体で、一年戦争後には地球連邦軍が接収して再利用していたのです。連邦軍仕様のザクII F2型は本来の緑色ではなく、ベージュに近い色合いをしていました。