アニメ『空挺ドラゴンズ』の吉平監督語る、「“ドラゴンの定義” 徹底議論した」
ドラゴンは「敵」ではなく、未知の「自然の驚異」

ーードラゴンについてのイメージはどのように形作っていったのでしょうか。
吉平 「ドラゴンとは何か」を定義しないと、この作品は成立しません。今作での定義としては、ドラゴンは人がまだ知り得ない自然の驚異のひとつです。自分たちの世界にに存在している生物の一種でもあるけれど、生態についてまるで分かっていない。だから龍は人から恐れられるのです。一方、「ドラゴン=人類の敵」ではありません。人間と共生できると思っている人もいます。
デザインの過程でも、生まれてから成育とともに身体が特徴的に発達してこういう成体になっていく、歯がこういう形だから何を食べる、外敵から身を守るために表皮が硬く発達する個体もいるのではないか……といったさまざまな議論を重ねながら、龍の生態、行動パターンに深く関わるデザインとして仕上げていきました。
ーー戦闘シーンでこだわったところはありますか?
吉平 ドラゴンを「悪者として駆逐される害獣」のような扱いにしないことです。ドラゴンはその世界に当たり前にいる生物であり、時として生きていく上での障害になるのが人間ということです。
龍には龍なりの行動方針があり、それが人間側の都合と衝突するときに命と命をぶつけ合うような戦いになります。派手なアクションで悪役の龍を倒す話ではなく、生物としての苦しそうなうめき声や、人が命を奪う罪悪感のような要素も含めて、互いに命がけの真剣な行動である……そうした考えをストーリーラインに入れてアクションを描いています。

ーー作品の見どころを挙げるとすると、どんなところでしょうか?
吉平 見どころのひとつは、たくさんのキャラクターに豪華声優さんがキャスティングされているところです。さまざまなな価値観を持った幅広い世代のキャラクターがそれぞれ個性豊かに動き回る、楽しそうなクィン・ザザの船の世界。そんな楽しい仲間に囲まれている輪の中に入りたいと思っていただけたらうれしいです。
本作は殺伐としていたり、小難しいような作品ではなく、いつでも誰でも楽しく見られる作品を目指しています。船員のなかに自分の好きなキャラクターを見つけていただき、一緒にいるつもりで楽しんで見てもらえたらと思います。
(マグミクス編集部)
※アニメ『空挺ドラゴンズ』は、フジテレビ「+Ultra」枠にて、毎週水曜日24:55放送。1月9日(木)より、Netflixで全話一挙配信されています。
(C)桑原太矩・講談社/空挺ドラゴンズ製作委員会