家から出られなかった4年前の春 『あつ森』が大ブームになった理由を読み解く
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を防ぐ緊急事態宣言が発令されてから、4年が経ちました。コロナ禍の時期に発売された『あつまれ どうぶつの森』(あつ森)は、なぜ全世界で4400万本を売り上げることができたのでしょうか。多くの人びとが関心を寄せた『あつ森』ブームを振り返ります。
コロナ禍で大ヒットを叩き出した『あつまれ どうぶつの森』

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを受け、特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令されてから、早くも4年が経ちました。2024年4月現在、ウイルスによる脅威が完全に消え去ったわけではないものの、国内におけるコロナ禍は収束を迎えつつあります。
4年前の春は、新型コロナウイルスの大流行により、当たり前の日常が送れなくなっていました。その結果、「巣ごもり需要」を受けて、ビデオゲーム市場が大幅に成長したのです。2019年度から31%の成長率を見せ、市場規模は20兆円を突破します。その最前線に立っていたのが、2020年3月20日に発売された『あつまれ どうぶつの森』(以下、あつ森)でした。
コロナ禍の真っ只中に発売され、日本のみならず全世界を巻き込んだ、『あつ森』ブームを振り返ります。
●日本だけでも1000万本売れた『あつ森』
『あつ森』は、任天堂が20年以上にわたって手掛ける「どうぶつの森」(以下、どう森)シリーズの最新作として送り出されました。「自由気ままなスローライフ」という従来のテイストを踏襲しつつ、舞台を無人島とし、さまざまなキャラクターたちとの交流を重ねながら生活を送るゲームです。
島の形状を自由に変えられる「島クリエイター」、素材を使って家具や道具を組み立てる「DIY」など、数々の新要素が話題を集めました。「どう森」シリーズ待望の新作ということもあり、2018年秋頃の初報から数多くの期待の声が寄せられていました。
その後いったん発売日が延期されたものの、2020年3月20日に無事リリースされます。なお、国内で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されたのは、2020年1月のこと。そこから数か月の間にパンデミックが巻き起こったのは、我々も知るところです。『あつ森』はというと、発売からわずか3日で販売本数が180万本を突破(国内)。そのまま全世界へと販路が広がっていき、2020年4月から6月の間で販売本数1063万本(世界)という大記録を打ち立てました。
それから時が経った2024年4月現在、全世界における『あつ森』の販売本数は累計4479万本です。国内だけでも1000万本に上り、これは世界的に有名な『スーパーマリオブラザーズ』を遥かに上回る記録です。では、なぜ『あつ森』は「どう森」シリーズ屈指の売れ行きを見せることができたのでしょうか。